分野別・レベル別の多彩な産業翻訳講座でプロを養成
翻訳実務検定「TQE」合格で登録翻訳者の道も開ける

実務翻訳で45年以上の実績を誇る㈱サン・フレアが運営する翻訳スクール。豊富な実務ノウハウを生かした分野別・レベル別の通学・通信講座で、次世代の産業翻訳業界を担う優秀な翻訳者を養成している。翻訳実務検定「TQE」合格者は、同社の登録翻訳者として仕事の機会が得られるなど、キャリアサポートも充実している。

訪問クラス 「はじめての翻訳技法」

分詞構文の翻訳では「結果」を表すものに注意

「はじめての翻訳技法」では、翻訳の各分野に進む前に押さえておきたい訳文表現と構文のポイントを理解し、正確で自然な訳文を作る上で必要な技術を体系的に習得する。教室には各自1台のパソコンが完備され、授業中は全員が一斉にモニターを見ながら講師の講評を聞き、意見交換ができるようになっている。必要な時はいつでもインターネットや辞書が使える環境が整っているので、効率的な調査の仕方も実践的に学ぶことができそうだ。以下に、現役プロの江國真美先生による授業をレポートしよう。

全8回のうち第7回となる今回は、オリジナルテキストの「分詞構文・付帯状況構文」の範囲を扱う。江國先生は、まず分詞構文の6つの意味「時(~するとき)」「条件(~するならば)」「原因・理由(~するので)」「譲歩(~するけれども)」「付帯状況(~しながら)」「結果(…そして~した)」などについて文法的な解説を行い、この項目で押さえるべきポイントをわかりやすく示した。その際、特に時間が割かれたのが、「結果」の分詞構文の訳し方だ。例えば、Heavy snow hit Hokkaido, causing great damage. の例文。causing 以下の文はto cause great damage と書き換えられるが、「~ために」と訳すことはできない。江國先生は、「分詞構文は結果のto 不定詞に書き換えられることはありますが、目的の意味にはなりません」と注意を促した。

ひととおり文法事項の解説が終わった後は、受講生の訳文の検討に移る。各自、あらかじめテキストの翻訳課題に取り組み、授業前に提出済みなので、全員がモニターを見ながら訳文を共有する形式だ。江國先生は、その場で一人ひとりの訳文に添削を施しつつ、丁寧な講評を加えていった。

英文サイトを辞書代わりに使いリサーチを効率化

実務翻訳では、英文解釈力、日本語表現力に加え、調査能力の有無が翻訳の良し悪しを決定する。そのため、江國先生が積極的に取り入れているのが、インターネットを使ったリサーチの実演だ。この日クローズアップされたのは、In this country, infections contracted within nursing homes contribute to 380,000 deaths per year, with costs reaching $2 billion. のcontribute to (380,000) deaths の訳し方について。受講生はcontribute to =~に貢献する、という英和辞書の訳語から「国家全体の死亡者数が38万人」と解釈していたが、江國先生は “contribute to * deaths” でグーグル検索するように促すと、contribute to =「死因」であり、「老人ホームでの死亡数が38万人」であることが判明した。江國先生によるリサーチの実演を見ていると、英文サイトを辞書代わりに使うことで、調査がいかに効率的かつ正確に行えるかがよくわかる。その単語がネイティブの間で実際にどのように用いられているかがわかるので、訳語を選択する際の決め手にもなり得るのだ。「英文サイトを上手に活用できれば、調査力は格段に上がります。ただし、信頼できるサイトであることを確認すること」と江國先生のアドバイスは続いた。

この日最後の翻訳課題Oil imports fell 2.5 percent, reflecting a fall in prices and lower volume. は、分詞構文reflecting 以下が前提を表すのか帰結を表すのかで訳し方が大きく変わる一例だ。受講生は全員が「石油の輸入が2.5%減少した結果、価格下落と石油量の減少に影響を与えた」と捉えていたが、実はこの例文の場合、reflecting 以下は前提を表していて、「輸入価格の下落と輸入量の減少を反映して、石油輸入額が2.5%減少した」と解釈するのが正しい。江國先生は、「reflectを調べ直して、この分詞構文が理由を述べているのか、結果を述べているのか、もう一度確認してみましょう」と助言し、reflect の用例から分詞構文の意味を確定するよう指導した。

「はじめての翻訳技法」第7回は、構文の文法的解説に始まり、日本語表現やリサーチ法まで学べる盛りだくさんの内容だった。次週1回を残すのみとなり、授業の最後には受講生から今後の進路についての質問や相談も寄せられた。実務翻訳者を目指す受講生たちは、本講座修了後、自分の適性を見極めながら各専門分野へ進むことになる。実務翻訳者として経験豊富な江國先生は、一人ひとりに現役プロならではの貴重なアドバイスを送っていた。

講師コメント

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「はじめての翻訳技法」
江國真美先生
えくに・まみ

大阪大学文学部史学科修士課程修了。結婚を機に家庭に入り、通信教育で翻訳を学ぶ。翻訳会社の登録翻訳者を経てフリーランスとして独立。出版翻訳、経済誌『フォーブス』翻訳、CNN登録翻訳者などを経験する。現在は、大手企業をクライアントに、コンサルレポート、雑誌、新聞記事、法務文書などの翻訳を手がける。

原文に沿った自然な訳文の作り方を学びながら、実務翻訳の基礎づくりをします

翻訳の初学者は、高校時代の英語にとらわれて、辞書にある訳語以外を使って訳してはいけないと思いがちです。その結果、自分が書いた訳文が、日本語として不自然であることにすら気づいていません。「はじめての翻訳技法」では、まずその点に気づくことから始めて、どうすれば原文に沿いつつ、なおかつ自然な日本語の訳文が書けるようになるかを学びます。翻訳とは、ネイティブが思い浮かべる状況と同じものを、過不足なく日本語に移し替える作業です。そのことを念頭に置き、最初の段階からなるべく癖のない翻訳の仕方を身につけていただきたいと思います。

翻訳者にはまた、調査能力も必要不可欠です。ところが、学習者の中には、インターネットを使ったリサーチが不十分な方がたくさんいます。単語の意味を調べる時、あるいは訳語を選択する時、その言葉が実際にどういう使われ方をしているかを調べると、問題が一気に解決することがあります。ネット検索は情報の宝庫。授業中は折にふれてリサーチの仕方を実演しますので、ぜひこの機会に調査能力をつけてください。併せて、英英辞典も使いこなせるようになるといいですね。

私は、翻訳者を目指すかどうか迷っていた時、1冊の辞書を買ったことで一歩前に踏み出すことができました。今思えば、それが翻訳者としての始まりでした。夢は見なくては叶わないし、見ているだけでは叶いません。何かをやってみたいと思ったら、まずは歩き出すこと。翻訳に興味のある方、サン・フレア アカデミーに来てください。ひとたび選択した道を歩き始めたら、きっと周りの景色が変わってきます。