インタラクティブな学習スタイルで
キャリアにつながる多面的な能力、スキルを養う

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高度な翻訳スキルを身につけたプロ翻訳者を多数養成・輩出しているアイ・エス・エス・インスティテュート。
受講者のレベルやニーズに合わせて選べる「総合翻訳科」「ビジネス英訳科」「専門別翻訳科」の3つのコースは、現役翻訳者によるきめ細かい指導と体系的に学べる環境を整え、プロフェッショナルへの道筋としてISSグループによるOJTや仕事紹介のサポート体制も万全だ。

訪問クラス 英語翻訳者養成コース「特許翻訳」

技術知識の裏付けで、正確、明瞭、簡潔な訳文を

今回見学した講座「特許翻訳」は、実際に企業が出願した特許明細書を教材に、主に日英の翻訳について学びながら特許の対象である技術的な知識も身につけてもらうのが目的だ。全15回の講座では毎回違う課題― 機械、電子、化学や光学、医療機器、家電製品からゲームまで― を設け、幅広い分野をカバーできる翻訳者の養成を目指している。

この日の課題は、大手電機メーカーが出願した不揮発性半導体記憶装置。授業では、まず前回の課題、電子技術の基本であるトランジスタの作用について簡単に復習した上で、トランジスタの作用を用いた構造が半導体記憶装置であると説明。そこから不揮発性半導体記憶装置の解説を、製品紹介ホームページの図説を見せながら進めていく。名村先生は身近な例えや簡単な言葉を使って極めて易しく解説するが、ここだけを切り取ったらさながら工学部の講義のようでもある。

だが、この技術解説の重要性は、間違えやすい英訳について名村先生が注意を促す時に実感する。「メモリの回路構造でロー・デコーダをlow decoderと訳す人がいるんですが、正しくはrow(行) decoder です」「他にもランプ(lamp/ramp)、チップ(chip/tip)など、機械的に訳していくと間違えやすい言葉があるので注意が必要ですね」。名村先生によると、特許翻訳はその重要度の高い順に「correct」「clear」「concise」の三原則があり、技術的な知識の裏付けが「correct」を可能にする。そして、常にこの三原則を念頭におくことで、より的確な訳文が書けるようになるという。

法律文書ならではの慣習や用例もふまえ包括的に学習する

今回の課題である特許明細書は前回の講義の際に受講生に配り、事前にメールで提出してもらった英訳を名村先生が添削。授業では各人の英訳を全員に配り、講師の訳例と照らし合わせながら解説する。この日は、特許明細書の本文に当たる「実施形態」の訳文を学習した後、ちょっとした気分転換も兼ねて特許翻訳でよく使われる構文を紹介(今回は「cause」構文)。その後、個々に発明を記載した「請求項(claim)」の翻訳に入る。

特許明細書の請求項は名詞句の形で書かれるため、和文を読んだだけではその内容の意味するところがわかりにくい。そのため、明細書の巻末に掲載されている図面を確認する作業は必須。例えば、受講生が「基板上に」の英訳にon を使ったが、「確かに和文では〝上に〟ですが、図を見ると基板には接していないのでon は使えません。この場合はabove ですね」といった具合だ。

途中、受講生からは「訳文ではsuch that を使っているがso that と意味の違いはあるのか」「〝~を制御する〟はto control と不定詞を使っているが、これは結果を表す不定詞なのか、so as to control の目的を表す不定詞と捉えてもいいのか」など解釈についての質問が度々あり、名村先生がその都度、解説を加えながら答えを示していくため、疑問を未消化に抱えたまま先に進むことはない。

こうして、丁寧に1文ずつ訳文を確認する作業の中で、「〝工程〟は通常step を使いますが、この用語を好まないクライアントが多いので、特許ではforming を使うことが多い」など、業界の慣習による語彙のチョイスや特許翻訳者としての心得も。こうした現場の背景が学べるのも現役の特許翻訳者が講師を務める講座ならでは。また、「原文を読んで明らかに誤植だろうと想像がつくものは、正しい文章で英訳した上でそれをコメント欄に記入します。この、誤植を見つけてコメントに書く、という行為はお客さんにも喜ばれますので、誤植を見つけたら積極的にやった方がいいですね」と、本来の仕事にプラスαの付加価値をつけることで次の仕事につながるポイントも指導していた。

翻訳スキルはもちろん、技術知識や業界の慣習、クライアント対策に至るまで幅広い知識が得られる「特許翻訳講座」。全15回の授業を終えた時、プロを目指す受講生の大きな自信となるはずだ。

講師コメント

英語翻訳者養成コース 「特許翻訳」 名村孝先生 なむら・たかし 京都大学工学部電子工学科修士。電機メーカーに通算29年間勤務し、パソコン周辺機器の設計開発、海外生産立ち上げ、品質保証に従事。退職後にフリーランス翻訳者として主に電気電子分野の特許明細書の日英翻訳を行う。情報処理装置、通信装置、AV機器、光学機器、車両制御装置、医療機器などの翻訳を手がける。

英語翻訳者養成コース
「特許翻訳」
名村孝先生
なむら・たかし

京都大学工学部電子工学科修士。電機メーカーに通算29年間勤務し、パソコン周辺機器の設計開発、海外生産立ち上げ、品質保証に従事。退職後にフリーランス翻訳者として主に電気電子分野の特許明細書の日英翻訳を行う。情報処理装置、通信装置、AV機器、光学機器、車両制御装置、医療機器などの翻訳を手がける。

翻訳スキルの向上だけでなく幅広い分野の技術知識が身につきます

この講座では、国内外の企業が特許を出願する際に必要な特許明細書の翻訳訓練を通じて、講座修了後にはOJTで特許翻訳の仕事ができるレベルまで引き上げることを目指しています。一般的な技術翻訳をベースに、特許独自の表現や法律文書ならではの知識を学ぶとともに、毎回、特許の対象となる技術知識を中学生でもわかるように解説しています。特に、字面だけで判断すると誤訳を招く恐れがあるので、図面を正しく読み取るスキルも身につけていただきます。

特許に限らず、技術翻訳で大切なのは「correct」「clear」「concise」の3C で、「correct」とは、原文の持つ意味に対して技術的に正確であること。これが一番大切です。「clear」とは特許の場合、誰が読んでも一通りの解釈しかできないような訳文を作ること。そのために、itやtheyなどの代名詞は原則使いません。「concise」とは冗長な表現を避けてなるべく簡潔に書く、ということですね。講座でも常にこの3つを強調しています。

国内外の技術者が知恵を絞って考案した最新の技術に触れることができる特許翻訳は、基本的に一人が一つの案件、特許明細書を担当しますので、全体を見渡せて把握できるおもしろさがあります。まずは英語の文法をしっかり学んで、ネイティブの書いた英文をたくさん読んで語感を養うこと。そして、その専門分野の技術文献で表現や用語に慣れることです。海外の企業が日本に出願している書類や特許明細書の入手方法なども説明していますので、ぜひ、ご自身でも勉強して技術を磨いていただきたいですね。