トップクラスの通訳者を輩出している伝統校
実践の機会などプロへの道を手厚くサポート

naruhon2019_tsuyaku_interschool_zyugyou

語学のプロ養成機関として50年以上の実績を誇るインタースクール。母体である㈱インターグループとの連携により、「スクールで学び、現場で生かす」インターメソッドが用いられている。受講中にプロデビューを果たす人も多く、将来のキャリアプランについてサポート体制が整っている。コースやレベル、カリキュラムの設定のきめ細かさも特徴だ。

訪問クラス 会議通訳コース「本科Ⅱ」

通訳の基礎体力を鍛え上げる

インタースクールの会議通訳コース本科にはⅠからⅣまであり、今回見学した本科Ⅱは、逐次通訳の技術を学ぶクラスだ。指導にあたる長尾幸子先生によると、英語を1度聞いて、8~9割を正確に逐次通訳できることが到達目標となる。

授業はまず、復習テストから始まった。〝教材から自然な英語を盗んで、自分の英語として使えるようになる〟ために、先生がえりすぐった表現が15~20問、出題される。答え合わせでは先生が、「資金調達はそう、fund raisingですね。funding やraise moneyでもよいですよ」「株価が〝急落する〟は、plungeや plummetといいましたね。collapse、そしてcrash もいいですね」というように、表現のバリエーションを教えてくれる。

この後、逐次通訳練習が始まった。サウジアラビアの国営企業の新規株式公開を想定したニュースだ。ニュースの台本が配られ、3分ほどかけて、各自黙読して内容をつかむ。その後、受講生が順番に当てられ、40語前後の英文をまず読み上げた後、英文を伏せて、読み上げたばかりの内容を日本語に訳していく。通訳に必要なリテンション(記憶保持)のスキルが問われる練習だ。長い英文ではないものの、詳細な情報まで漏れなく覚えておいて日本語に訳す作業は、かなり訓練が必要なように感じられた。

続けて、同じ教材を使った別の練習に入った。英文を読み上げた後、その内容をほぼ原文と同じ英語で再現するリプロダクション、もしくは同じ内容を異なる英語で表現するパラフレージングの練習だ。こちらも同じく、読み上げた内容を理解して覚えていなければ、いかなる英語にも直せない。最後まで終わった後に、先生から簡単な語句解説があった。「the bankers who are facilitating this IPO、とありますが、このfacilitate という単語は、訳すときに七変化する動詞です。文脈に合った訳を見つけるのが難しい単語ですが、日英通訳のときはいろんな場面で使えるので重宝しますよ」など、プロ通訳者ならではの解説がとても貴重だ。

日英通訳訓練を通じて英語の感覚を養う

この後、授業は日英通訳訓練へと移った。素材は大手通信会社社長の日本語による講演で、約33分の講演を3回の授業で通訳する。今回はその2回目だ。受講生には事前に「単語リスト」が配布されている。まず30秒前後パッセージを聞きながら、適宜メモを取る。そして音声を止めて、当てられた受講生が英語に訳していく。訳し終えると、先生から模範訳と、表現や語彙についての解説が入った。例えば「脳細胞の数に正比例して知的活動が行われる」というくだりでは、受講生が訳出に使ったin proportion to~(~に正比例して)という表現が取り上げられた。「ここは直訳にこだわらず、What matters here is the number of brain cells. More brain cells we have, more intellectual activities we perform. のようにシンプルに訳出してもいいと思いますよ」。こうした先生の解説を消化して自分のものにすることで、〝自然な英語〟が身についていく。

授業の最後では、講演で触れられていた脳細胞の情報伝達方法に関する資料が配られた。通訳の授業でここまでの知識が求められるのか、と驚いたが、ここで事前に伺っていた先生のお話を思い出した。「まずは内容を正しく理解しなければ、質の高い通訳はできません。英語や日本語が〝なんとなくわかる〟だけでは不十分なんです」。語学力はもちろんのこと、記憶力、集中力、背景知識など、さまざまなスキルが鍛えられる、密度の濃い2時間だった。

講師コメント

会議通訳コース「本科Ⅱ」 長尾幸子先生 ながお・さちこ 上智大学外国語学部卒業。大学4年生のときにアルバイトで通訳者と一緒に働く機会があり、自らも通訳者を目指すことを決意。卒業後にインタースクールに入学し、在学時から通訳の仕事を始める。1993年よりフリーランスの通訳者として活動。現在はインタースクール東京校で会議通訳コース、及び医療通訳コースの講師を務める。

会議通訳コース「本科Ⅱ」
長尾幸子先生
ながお・さちこ

上智大学外国語学部卒業。大学4年生のときにアルバイトで通訳者と一緒に働く機会があり、自らも通訳者を目指すことを決意。卒業後にインタースクールに入学し、在学時から通訳の仕事を始める。1993年よりフリーランスの通訳者として活動。現在はインタースクール東京校で会議通訳コース、及び医療通訳コースの講師を務める。

必要なスキルを効率よく学べるのはスクールならでは
講師や同級生から刺激を受けながら一生ものの技術を身につけましょう
通訳技術には、様々な要素が求められます。英語力、日本語力はもちろんのこと、背景知識や記憶力も重要で、どの力が欠けても通訳の質が落ちてしまいます。独学の場合、これらのいずれかでつまずいてしまいがちです。けれどもスクールに通学すれば、自分の弱点に気付きやすいですし、そこを効率よく補強しながら学べるというメリットがあります。また、プロ通訳者である講師から体験談を聞いたり、クラスメートから刺激をもらったりと、学習を楽しく継続できる環境が整っているのもスクールならではでしょう。

私自身は留学経験がなく、日本の英語教育にどっぷりと浸かってきたので、受講生の皆さんには、学校英語の基礎を生かしつつ、自然な英語力を身につけていただくことを意識した授業を行っています。英日の教材であれば、日本語に訳して終わるのではなく、英語らしい表現をなるべくたくさん“盗み”、次に日本語から英語に訳す際に、それらを自分の英語としてどんどん使えるようになるのが目標です。

受講生の皆さんには、「忘れることを怖がらないで」と伝えています。どんなに一生懸命勉強した教材でも、忘れている部分があって当然です。大切なのは、それを何度も復習して自分のものにする、ということ。復習する人は伸びるのが早いと信じています。

通訳は、一度技術を身につけると、何らかの事情でブランクがあっても、復帰が可能です。また通訳で必要とされる「言語に対する精度の高い理解力」は、ほかの職業でもとても役立つと思います。興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。