現場の翻訳技術と業界の最新情報を提供しニーズの高い治験翻訳のスペシャリストを育成
東京と大阪で全12コースを開講

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医薬品の承認申請書類を扱う治験翻訳は、需要が高い一方で翻訳者は常に不足している。
そんななか、大手翻訳会社・人材派遣会社・日本メディカルライターの後援を受け、人材育成に取り組んでいるのがアルパ・リエゾン社の「治験翻訳講座」だ。治験に特化した教材を用い、現場の翻訳技術や業界の最新情報を指導。現状打開を望む治験業界からも高い注目を集めている。

訪問クラス 「和訳基礎演習 がん治験と翻訳技術」

翻訳の基本姿勢と
治験の基礎知識を学ぶ
「和訳基礎演習 がん治験と翻訳技術」は治験翻訳への導入となる講座で、翻訳の基本的な考え方と治験の基礎知識を並行して学習する。
指導にあたるのは有馬貫志先生。東京医科歯科大学で非常勤講師を務める傍ら、2005年に本治験翻訳講座を設立。製薬会社、CROでの英語研修、日本メディカルライター協会、日本翻訳連盟等での講演活動も行うなど、メディカルコミュニケーションと治験翻訳の発展に貢献するべく多くの活動を行っている。使用するテキストは独自に編纂したもので、翻訳演習用の課題文(がん治験について書かれた入門書)に加え、治験や医学に関する膨大な資料も収録されている。参考書や用語集としても活用できる、初学者にやさしく有益な教材だ。

翻訳演習が始まると、有馬先生は誰もが知っているdrugの訳語をまず俎上に載せる。受講生の訳語は「薬」や「薬剤」。文脈に照らしてみて何の問題もないように思えたが、それでも正解にならないところが専門文書の翻訳の難しさだ。
「訳語がいくつも考えられる場合、オフィシャルな機関が発表しているガイドラインを参照してください。『ICH-E6』(日米EU医薬品規制調和国際会議が発表したガイドライン)には『医薬品』が使われています。これが訳語の第一選択肢です」

有馬先生は治験翻訳の基本姿勢を示し、さらに専門的な用語や言い回しを学ぶうえで添付文書やLabel Information(アメリカで添付文書に相当するもの)が有効だと補足。それらをダウンロードできる公的なウェブサイトを紹介し、「本物にたくさん触れ、医薬の文化や慣習に慣れることが大切です」と言葉をかけた。授業が始まって間もないが、大切な教えと重要な情報が次々に説かれていく。

翻訳時に参照すべき
情報ソースを多数紹介

受講生が訳文を発表する際、有馬先生は翻訳に至った過程や難しかった点なども述べさせ、それに対してまずコメントする。原文が複雑な長文だったため「情報をどう処理していいか悩みました」と打ち明けた受講生には、「悩むのは原文解釈が不十分な証拠。原文をきちんと解釈できれば訳文の書き方はおのずと決まります」とアドバイス。丁寧な個別指導は、受講生が弱点を克服するうえで大きく寄与するはずだ。

訳文の検討では、「治験と臨床試験の違い」といった基礎知識の確認はもちろん、 IND(臨床試験実施申請資料)やBLA(生物学的製剤承認申請)など専門用語の訳語に関する指導が目立った。有馬先生は定訳を示すだけでなく、PMDA(医薬品医療機器総合機構)やUMIN(大学病院医療情報ネットワーク)などの情報ソースを必ず紹介。信頼できる情報源にあたることの大切さを強調した。

チェックの目は日本語にも向けられる。意味を厳密に訳そうとするあまり、冗長な訳文になってしまう受講生には「厳密に訳そうとする姿勢は良いのですが、原文と訳文の情報量のバランスを取ることも大切です。」と助言。また、何気なく使いがちな言葉の意味を正し、例えば「以下に挙げる」と「以下のような」の違いを説明する場面もあった。

授業は3 時間の長丁場。だが休憩時間でさえ、有馬先生がコンピュータを使って添付文書を探し始めると、そのまわりには自然に受講生の輪ができていた。教える側も学ぶ側も見据える先は一緒。そんな一体感が感じられた。

なお、コース最終日には個人面談も実施される。授業と合わせて各受講生の全能力を把握するためであり「だからこそ、それぞれの受講生への勉強方法や今後の進路などについての的確なアドバイスができる」と有馬先生。現在、計6社の翻訳会社および人材派遣会社と提携しており、修了生には医薬関連の求人情報をメール配信したり、翻訳会社のトライアル受験を勧めたりと、コース修了後も受講生のサポートに力を入れている。人材育成に対する強い意気込みと業界との太いパイプは、受講生にとって大きな支えとなることだろう。

講師コメント

「和訳基礎演習 がん治験と翻訳技術」 有馬 貫志先生 ■ ありま・かんじ 英国Essex大学大学院言語学修士。同大学日本語講師、英国Birmingham大学Japan Centre副主任等を歴任。帰国後は東京医科歯科大学で非常勤講師を務める傍ら、治験翻訳レビュアーとして翻訳者の育成に携わり、治験翻訳講座を設立。現在はアルパ・リエゾン㈱代表として演習講師を務める。

「和訳基礎演習 がん治験と翻訳技術」
有馬 貫志先生
■ ありま・かんじ
英国Essex大学大学院言語学修士。同大学日本語講師、英国Birmingham大学Japan Centre副主任等を歴任。帰国後は東京医科歯科大学で非常勤講師を務める傍ら、治験翻訳レビュアーとして翻訳者の育成に携わり、治験翻訳講座を設立。現在はアルパ・リエゾン㈱代表として演習講師を務める。

大切なのは“医療への興味”自分の健康に
対する見方さえ変わる非常に面白い分野です

講座の目的は大きく2つあります。1つは翻訳の基本的技術、すなわち原文をきちんと解釈してそれを日本語に置き換える力の体得。もう1つは治験という世界の理解です。初学者の方は背景知識がないために、どうしても単語レベルでの情報に頼ってしまい、単語レベルでの翻訳になりがちです。また、日本語を構造的に扱うことに慣れていないため、それがさまざまな問題となって訳文に現れてしまいます。翻訳技術と専門知識は表裏一体。どちらか一方が欠けてもいい翻訳はできませんので、その2つを並行して学んでいただきたいと考えています。

治験翻訳者を目指すうえで一番大事なのは、医療に対する興味です。翻訳は「考えること・調査すること」をつねに求められる大変な仕事。でも「好き」という気持ちがあれば、その「大変さ」は「楽しみや充実感」へと変わるのです。

この分野は不況にもビクともしません。実力があれば安定して仕事を得ることができます。また、医療に関して専門的な見方ができるようになると、自分の体や健康に対する見方も変わってきます。その意味でも非常に面白い分野であり、文系出身でもまったく問題ありません。東京校・大阪校での通学コースに加え、通信講座も開設し、治験翻訳講座の受講生も900人を超えました。興味のある方はぜひ挑戦してみてください。