第8回 それぞれのLifehack その1

翻訳LifeHack2017.09.07

3.ツール環境は一人にしてならず

●紹介してくれる人=西垣内寿枝(Hisae Nishigauchi)さん
(特許翻訳者(化、バイオ分野の英日・日英)。1990年代前半から翻訳に携わる。2007年にILC大阪校の特許翻訳コースに1年通学後、トライアルを受けてフリーランスとして本格的に始動。現在は、株式会社Office GrassWordの代表。また、翻訳ツールの勉強会「ほんまかい」の運営に携わる。この春に目の手術をしてからは目の負担を減らす仕事の仕方やツールを模索中。)

作業環境
私の小さなオフィスをご紹介します。6畳の部屋にPC1台(Windows 7)とデュアルモニタ、Happy Hacking KeyboardにContourDesign社のローラーバーマウス という至ってシンプルな構成です。椅子は、イトーキのCassico.女性向けに開発されたものを愛用しています。Evernoteにクリップした資料を読むのにiPad ProとApple Penを使っています。
pic1_nishigauchi_HHKB

機械にできることは機械に
ILCの恩師は、このような考えから特許翻訳の講義に加えて、ITスキルや翻訳に活用できるソフトウェア、ツールをカリキュラムとして教えていました。その影響で翻訳ソフトとテキストエディタ「秀丸」を使うようになりました。数年後には翻訳スピード・正確さの両面で翻訳ソフトの限界を感じるようになり、テキストエディタ「秀丸」とマクロを使った上書き翻訳に移行しました。ほんまかいを立ち上げたのもこの頃です。
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「秀丸」の利点はなんといっても「軽い」ことです。強調表示機能を使って数字などの色を変えて表示できます。また、マクロやAutoHotkeyなどを工夫することで、自分の使い勝手に合わせてカスタマイズできます。化学案件は化合物名が10ページも続くなど、延々と調べ物をすることが必ずあります。例えば「耐熱性」という用語を選択して、マクロ(またはAHK)を登録してあるキー(Cntl+E)を押すと自動的にブラウザで「英辞郎」を開いて検索してくれます。同じようにして「秀丸」のgrep検索でテキストファイルの串刺し検索、そして辞書ブラウザで辞書の串刺し検索ができます。
pic3_nishigauchi_grep

翻訳作業のカギの1つは、コツコツ作り上げた自作の用語集や対訳集、支給された貴重な資料などの資産活用だと思います。私はすべて、テキストファイルにして同じフォルダに置いてあります。「秀丸」のgrep検索を使うと、別々のファイルに入っていてもまとめて検索(串刺し検索)してくれます。検索マクロと併用することで効率が格段によくなりました。

翻訳に集中するための環境作り
ツールは効率化、高速化という面もありますが、むしろ、自分の翻訳作業での集中力を高め、思考の流れを中断させないためのものだと思います。そのためには、まず自分の翻訳スタイルや嗜好にあったアプリケーションをメインにして(私は「秀丸」の上書翻訳)、苦手なことや面倒くさいこと、繰り返しやることを「検索置換」していました。それが、自作の1行マクロになり、マクロ集やAHK(ほとんどはほんまかいで貰ったものですが(笑い))へと変わっていきました。

ツールというと、まずどこからかダウンロードしてインストール。それだけで敷居が高いと感じる人も多いかもしれません。コツは、(1)デモを見たり、実際に体験できるセミナーや勉強会に参加すること、(2)使いこなそうと構えず、1つでいいから自分の仕事に役立つものがあれば取り入れること、(3)質のよい情報をくれる人と仲良くなること。まずは、地域の勉強会に参加することをお勧めします!

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個性的な3人によるlifehack、いかがでしたでしょうか。同じツールでも使い方や紹介の仕方が違うと新たな発見があり、皆さんにとってよい参考になったのではないでしょうか。私も知らなかったことが多く、友人に頼むという方法はわれながらよいアイデアだったなと思っています。1つでも2つでも、これと思ったものをぜひお試しくださいね。今回は偶然関西勢が揃いましたが、次回は首都圏からお二人ご登場願う予定です。

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