Vol.2 英検面接官として今の中高生に接して――
グローバルな資質とはなにか?
/会議通訳者・大竹純子さん

通訳者・翻訳者の子育て2017.06.15

数年前から、日本英語検定協会の実用英語技能検定(英検)の二次試験面接官を務めています。受験に有利であることから、学校ぐるみで英検受験を奨励しているらしく、受験者も年々、増加しています。今回は、“子育て”ではありませんが、英検の面接官として、中高生を中心に多くの子どもたちと接している中で感じたこと、またグローバルな人材や資質ということについて、触れてみたいと思います。

英検の面接で同じ回答をする生徒たち

英検の2次試験では、生徒に絵を見せて、その絵に関する質問をしたり、フリーな質問をして、生徒の考えを聞くように設計さEDE0056Dれています。ただ、質問も答えも「標準化され」「枠の中で」行われている感が否めません。中学生や高校生である生徒たちは、過去問を準備し、どのように答えるかよく訓練を受けています。答えを暗記して来ている生徒が多いので、「この週末は何をするつもりですか?」という質問に、みんなが「図書館で勉強します」と答えることもあります。私は笑顔でうなずきながら聞いていますが、「皆さんの学校の図書館は、さぞ大きいのでしょうねえ」と、内心、少々苦笑しています。

試験官は、あらかじめ準備された発言しかできないことになっているのですが、たまに逸脱してコメントすると、生徒の顔が輝くのです。スクリプトにない会話ができたことを、彼らがどんなにうれしく思っているか、わかる瞬間です。自分の英語が通じたという喜びがあれば、英語の勉強を継続してくれるのでは、と信じています。

外国語の上達には、日々の鍛錬以外ありません。技術の進歩で生きた英語がいつでも聞ける環境になった現在、上達したときの達成感と目的意識を失わなければ、どこにいても英語は上達できると思います。世界がグローバル化し、職場において英語が必須になりつつあるため、「目的意識」を持つ生徒もどんどん増えているのは、とてもうれしい事です。

グローバルな人材とは?

「将来仕事で使うかもしれないから英語を勉強しよう」「そのためにもまずは英検に合格しよう」との目的意識を持つ生徒が多くなったのは確かですし、親御さんたちも「子どもをグローバルに育てたい」とか「グローバルな人材になってほしい」と考えているようです。ただ、「グローバル」とか「グローバルな人材」の本質を理解している人は少ないように感じます。

ちなみに、私たちが働く通訳の現場はいつもグローバルです。最近、日本のビジネス世界が、本当にグローバル化してきているのを肌で感じます。これからは普通に日本の企業に就職しても、職場が日本とは限りませんし、同僚も日本人だけではなくなるでしょう。当然ですが、海外に住んでさえすれば、グローバルな資質が養われる訳ではありません。友人の寿司職人はアメリカに40年も住んでいますが、日本人の友人としか交わらず、限られた英語しかしゃべれません。海外赴任や留学の経験だけでは、これからのグローバル化の中で活躍できるとは限りません。それでは、ビジネスにおいて成功するグローバルな資質とは、何でしょうか。

ページ: 1 2