第10回 ガイディングに風水ネタはいかが?

通訳ガイド行脚2008.02.16

風水の考えに基づいて建設されたさまざまな時代の日本の都
風水がもてはやされる昨今ですが、日本のさまざまな時代の都の立地条件作りにも風水の考え方が深く取り入れられているということをよく外国人にガイドします。古都、京都ももちろんそうです。平安京は中国の都にならって作られた都ですから、当然北を中心にして山に囲まれ、敵から守られています。南方向には幸せをもたらし発展につながる海や川があり、西からは水路(川)があって産業の促進・発展を期待させます。鎌倉もそうでした。そういう立地に都を作れば、きっと物事が上手くゆくと信じられていました。

マンション建設大型プロジェクトに風水上の大問題が発生!
今でも風水が日常的に人の生活に大きく影響を与えている香港で、これぞ風水の極めつけ、と言わんばかりの建物を目にしました。九龍半島からトンネルを抜けて向かいの香港島にあるレパルズベイ。狭い土地柄のため居宅はマンションが一般的という香港で、ここはセレブの一戸建て豪邸が立ち並ぶ高級住宅街です。そんな地に静かな湾を目の前にして、そそりたつ山の前に立派な大型マンションが建ったのですが、それはもちろん大人気ですぐに完売してしまいました。そこで住人たちはもう一棟ペアのように隣と同様のマンションを建てようとしたのです。ところが、大問題が立ちはだかりました。地元の習慣にもとづいて風水師にみてもらうと、ここへの建設は絶対にしてはならないというのです。その理由は、「山に住んでいる竜が、海の水を飲みに降りてくる通り道にちょうど建設地があたるから」だというのです。多大な費用をかけた大きなプロジェクトだったので大変です。

そこで建築家達は建物のデザインに工夫を凝らし、何とか妥協案をまとめてマンション建築を完成させることができました。その工夫とは、なんとマンション何部屋分ものスペースを割いた大きな大きな穴をあけること。竜に対して「さあ、ここが通り道ですよ、これは波打ち際ですよ」とメッセージを伝えるべく、建物はゆるやか、かつ細かいカーブを描き、竜もハッピー、住人も守られるという解決法なのでした。建築費だけは莫大に膨れ上がったはずです。「へえ~?マジ?」っていいたくなる光景ですが、これぞ香港という印象でとても面白いものでした。

香港穴開き建物
香港の風水対策豪華マンション

香港の風水対策豪華マンション

風水は一般人の生活にも深く根ざしており、新しい住居に移ると約14万円かけて風水師に診断を依頼し、そのアドバイスによって気運を高める処置をするのがごく普通のこと。これが香港人の常識なのだそうです。

そういう視点で市内の風景を見てみると、びっしり建ったあちらこちらの高層建築物群に風水を意識したデザインが見られます。海の近くに新しく建ったマンションも二棟のタワーが途中で鳥居のようにつながった形状でゲートと呼ばれますが、まさに風水のなせる業とか。ちょっと変わった形状のものはほとんどが風水、風水。。。。 そういえば東京や大阪で大きく中間にスペースのあいた建物がありますが、ひょっとすればあれにも「実は風水が関係している?」なんてことがあるのでしょうか。

一般の観光をするにも、ガイドさんが何かに焦点を合わせたテーマにもとづいた案内をすると見慣れた風景でさえも興味がさらに沸くのではないでしょうか。ついでに、「○○の方、角には黄色い絵画やカーテンをおくとお金が貯まりますよ(?)」なんて、風水のヒントのガイディングも喜ばれるかもしれませんね。通訳ガイドはすべての雑学が活かせる仕事です。