第1回 日本と違う?! イギリスの通訳事情

通訳者通信fromロンドン2017.01.19

通訳・翻訳の区別はなし

その他に、イギリスで通訳を始めてみて、日本と違うと感じたことをいくつか紹介します。

*通訳者の言語
日本では日⇔英の通訳者が圧倒的ですが、イギリスではドイツ語、フランス語はやはり主要な言語と言えます。ビジネス通訳ならそこに日本語が、警察や裁判所といった公共サービスならスペイン語や東欧言語が、また日本と最も事情が異なる部分としてはインド・パキスタンなどAsian Communityで使用されている諸言語(パンジャビ語、ウルドゥ語など)の需要があります。元植民地だった地域(イギリス連邦=Commonwealth)からの定住者家族とその地域社会があるからです。また、EUで求められているのは、ヨーロッパの希少言語を言語コンビネーションの中に持っている通訳者、中国語を持っている通訳者です。

通訳中の筆者

通訳中の筆者

*通訳者の数
日本にはあまり通訳者の団体というのは無いかと思いますが、イギリスには業界団体がいくつかあります。イギリス国内の公共サービス通訳者の全国登録制度(National Register of PSI =NRPSI)に登録している通訳者は1900人以上、英国翻訳通訳協会(ITI)では約3000人(通訳・翻訳者併せて)、公認言語学協会では約6000人(通訳・翻訳者以外も含む)です。また、EUのフルタイムの通訳者(スタッフインタープリター)は578人、パートタイム(フリーランスの登録通訳者)が約3000人だそうです。そのうち、日本語の通訳・翻訳者の数は、ITIの下部組織である日本語ネットワークの登録人数が約150人(通翻訳者併せて)ですが、登録していない通訳翻訳従事者もいますので、正確な数はわかりません。

*ワークスタイル
言語に関わらず、通訳者はフリーランスが多いですが、中には社内で語学力を生かしたポジションについている人もいます。
通訳と言う職業の社会的地位については、一概には言えませんが、通訳者をInterpreter、翻訳者をTranslatorと明確に区別してくれる人は一般にはあまりいません。文章であろうと、発話であろうと、訳すことは訳すこと、すなわちTranslateとして片付けられてしまうことが多いです。
仕事はエージェントからもらうことが多い人もいれば、直受けばかりという人もいます。日本では圧倒的にエージェント経由が多い気がしますが、イギリスの日本語通訳者の仕事の受け方はもう少し多様性があると思います。どういうルートで通訳者になるのか、キャリア構築については、2回目以降で、改めて紹介したいと思います。

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