第100回(最終回) 通訳ガイドが日本のイメージを決める!

通訳ガイド行脚2016.12.13

イスラム圏からのお客様が増加中

近年は、アジアからの観光客が激増中ですが、東南アジア約6億の人口の内、およそ半分の2億8000万人がイスラム教徒です。仏教や神道だけでなく、キリスト教のことも知っておかなければ……と言っていた時代から、キリスト教と並ぶ世界宗教のイスラム文化を理解しておかなければと、遅まきながら東京ジャーミーというモスクを訪れ、さまざまなお話を伺ってきました。

夜食や間食も含めて1日5回ぐらいは食べ物を口にするように、イスラム教徒には1日5回の礼拝の習慣があります。それは「体」と同じように大切な「心」に栄養を与えるためと聞いて、ハッと胸を揺さぶられました。旅行中は1日3回でも良いのだそうですが、アテンドする通訳ガイドには、狭くても良いので気持ちを集中させ、両手を床について行う拝礼に適した清潔な場所を探し確保する配慮も求められるという理由がちょっとわかったような気がしました。

ニューヨークには大小含めると約600ヵ所あるモスク、礼拝所、日本全体ではまだ約80ヵ所しかないのだそうです。アジアからの観光客の約半分がイスラム教徒であることを考えたら、礼拝の時間にちょっと立ち寄れる礼拝場所を求めてウロウロ心細くならなくてもよいように、礼拝所が増えればもっと彼らにとって日本滞在がしやすくなるのだろうなあと感じます。そんなところからか、某デパート内では礼拝所が設けられたそうです。新しい見方や発見がいっぱいでした。

相手の文化を知らず表面だけで判断すると偏見に左右され、それが差別も生んでしまいます。特に通訳ガイドをするなら、まずは相手の根底の文化を理解して、その上で日本紹介を目指せば、より適切な説明の仕方もできそうですね。

通訳ガイドは“すてきな日本の知人・友達”

2016年もまもなく年の暮れ、そして新年を迎えるころとなりました。通訳案内士法に限らず、観光関連の法改正が検討され、観光情勢がどんどん変化していきます。でもどんな状況になっても、外国人にとって日本、日本人と聞けば、頭に思い浮かぶのは滞在中にお世話をしてくれた、実際に言葉を交わし、心を通わせたガイドさんです。
つまり通訳ガイドが日本のイメージを決める要因のひとつといっても過言ではない、いわば草の根の民間大使です。一所懸命にガイドしてサポートしようとしてくれたガイドさんの暖かい気持ちは、きっと永遠に心に刻まれるでしょうし、その思いが平和につながっていくのではないかなあと考えると、私たちのガイディングはとても意義が深いものです。

ガイドをしているときは、全人格でぶつからねばならないし、また人柄は自然と滲みでてくるものです。“すてきな日本の知人・友達”となって、外国人観光客に「また日本を訪れたい!」と思ってもらえることが私たちの目標。それを目指して日々、ガイド技術を磨き、人間力を上げて多くの外国人観光客をお迎えいたしましょう。

今回が100回目ということで、このコラムもいよいよ終了となりました。長らくご愛読いただきました皆様には心より御礼申し上げ、幅広い方面でのご活躍をお祈りしています。Good Luck!

ランデル洋子☆

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