第99回 業務独占廃止について

通訳ガイド行脚2016.11.14

誰でも観光ガイドとして働ける時代へ
通訳案内士制度に関して、数十年ぶりという大きな法改正が進みつつあり、通訳案内士や旅行業界はちょっと落ち着かない状況が続いています。

従来は、通訳ガイドを有償で行うのは、国家試験に合格して通訳案内士の資格を保有している者に限定されていました。ところが、2016年の1月に内閣府の規制改革会議で通訳ガイドの業務独占が規制緩和の候補としてあがり、6月には業務独占廃止に向けた法改正を行う事が閣議決定されてしまいました。

通訳ガイド組織は反対の意思を表明し、旅行会社も事業としてガイドを手配する以上、ガイドの質の担保ができなくなることを懸念していました。しかし、通常国会での審議が2017年の春頃と見込まれ、法改正が決定すれば半年程度の準備期間を経て、国家資格のあるなし、国籍、性別、年齢を問わず、誰でもが外国人への観光のガイドとして有償で働くことができるようになるのです。

時代の流れとして受け止める理解はしていても、この大きな変革に、すでに通訳案内士として働いているガイド達は、この先どうなるのだろう? 多くのガイドが世に出ることになると料金が下がるのではないか? 仕事が減るのではないか? などと不安を隠せません。

でも、優秀な通訳ガイドはこれからも必要なので国家試験は継続されますし、「通訳案内士」または「通訳ガイド」の名称はこれからも国家試験合格者だけが使えるという名称独占状態は続く予定です。

国家資格を有するガイドが輝くように
誰でもが外国人相手に観光ガイドができるとなると、今後どっと日本を訪れるであろう多くの外国人客にガイドサービス提供ができて、便利になるというプラスの面がある反面、懸念される課題もたくさんあります。

例えばガイディングの品質が管理されずにお客に迷惑をかける可能性、買物の斡旋をして紹介料を稼ぐ、ぼったくりや風俗営業まがいのサービスなど悪質なガイドが現れて日本の印象を落とすのではないかという恐れです。外国人客が困るようなことがあったら届け出る窓口があるのか? 窓口があったとしても資格も登録もないガイドをどのように取り締まるのか? その他今後、検討を続けなくてはならない課題は山積みです。

そういった中で、国家資格を有する通訳案内士はもっとピカピカに光ってもらえるようにしよう・・・・という姿勢を国は持っています。どんな特典が考えられてゆくのか、観光庁を中心とした今後の対応が注目されます。本当の意味でこれからの通訳案内士・通訳ガイド組織の在り方を検討する時期が来たようにも感じます。これをきっかけに社会的な地位が向上して、皆が憧れる存在としてステータスが上がってゆくと良いですね。

少なくとも、「通訳案内士」の資格を保有し、「通訳ガイドです!」と胸を張って言うには、全国のガイド業者をリードしてゆけるダントツの技術力や知識力、総じて人間力を持ち合わせていたいものです。大きな歴史的変革の時期に、皆様には前向きな、プラスの転換期として通訳ガイドの役割を捉えていっていただきたいです。

これからも状況を見守りながら提案をしてゆきたいところではありますが、実は通訳ガイド行脚のコラムも今回が何と99回目を迎え、次回の100回でひと区切りをつけて終了することになりました。
あと一回、通訳ガイドを応援するコメントメッセージをお送り致します。お楽しみに。

*************************************

インバウンドは私たちが盛り上げる! 

通訳ガイドがゆく

ランデル洋子著/イカロス出版刊/1400円+税
2016年9月10日発売
★詳細&ご購入はこちらから

★Amazonはこちらから