第40回 外国人に人気の電車にうまく乗るコツ

通訳ガイド行脚2011.02.16

世界各国での高速鉄道導入やそのスピードの競争などが報道されています。超伝導利用の日本のリニアモーターカーの実現も期待されるところですが、東京・品川~山梨~名古屋までの開通予定が2027年、その後三重~奈良~大阪は2056年頃とのことですから、私がそのスピード感を楽しむことはできないかも。残念!

進歩の速さに驚かされる中国上海では既にリニアを運行中です。常伝導方式により浮上は1cm、時速430km。一方、日本のリニアは磁界が強力な超電導方式で浮上は10cm走行となり、最高時速は時速581km、耐震性も高い優れもののようですが、実現までに時間がかかった果てに、運転手のいないコンピューター制御運行で、しかも地下&トンネル走行が70%と聞くと「快適な旅」・・・とはいいづらいような気もしますね。電磁波の体への影響も不安が残ります。でも3年後に実験線が42.8KMに延長された際には、先端科学のリニア試乗が、自然の美を売り物としていた富士山地区の興味深いハイライトとして、観光ルートに含まれる可能性があるのかもしれません。

しかしいくらリニアが発達しても、新幹線やローカル電車に乗るのが大好きな外国人旅行客はきっと減ることはないでしょう。美しい窓外の景色を楽しみながらの清潔で快適な旅は自信を持って薦めしたいものですね。モダンな車内の設備の説明も遅れをとらぬよう情報を得ておきたいものです。(今でもたまにトイレの水の流し方や手洗いの水の出し方がわからなかったりしてオロオロされる場合もあります!トイレ使用中のサインが客席から見えることも教えてあげましょう。私たちにとっては当たり前のことも伝えないと気がつかれないかも。)

さて、電車利用のツアー案内にはコツがあります。
新幹線じゃなく、東京の山手線を利用して40名の高校生を原宿から品川まで連れてゆく、という東京都内のツアー行程がありました。人混みの激しい夕方に停車時間が10数秒という慌しさのなか、はたして全員を上手く乗車させられるのか? さらに無事に下車させられるのか? ガイドする方にはちょっと緊張感が漂うところです。

その時のガイドさんは、40名を数グループにわけてグループごとに固まって行動してもらうことを考えつきました。それぞれのグループにリーダーを決め、人数確認をまかせるのです。通訳ガイドに加えて添乗員または付き添いのリーダーなどがいれば、それぞれが列の前と後ろについてお客様を中に挟むようにして引率します。
「乗車位置は一車両に複数あるので、予め分かれてスタンバイすること、降りる人を優先させて道を開け、その後即座に乗り込んだら入り口で立ち止まらず奥に移動すること、6つ目の駅で下車する前にはお互いに声をかけ合い、すみやかに降りること、この人混みの中で迷子になったらもう会えませんよ・・・(と、ちょっと脅かして)」説明すべきルールがたくさん出てきました。

スピーディに確実に移動する必要性をよく理解してもらっておけば、自発的に協力してもらえるはずです。ガイドさんは、全員が乗ったことを確認してから“最後に乗り、最初に降り”、到着後はホームの一角にグループを集めて人数確認。万が一降り過ごしてしまったら、次の駅で降りてホームで待っていてそこから動かぬよう伝えておきます。数分おきに運行されている都会の電車事情ならではのことですが。携帯電話番号も念の為に教えておきたいかもしれません。

これはそう、つまり初めて電車に乗る子供に対して乗車マナーを知らせておくのと同じ感覚ですね。大人はマナーを心得ていて当然と思われるかもしれませんが、外国人旅行客の中には通勤電車、ローカル電車を含めて電車に乗ったことがない人もいるかもしれないのです。常識感覚やスピード感覚が違うかも知れません。売店や足早に歩く他の乗客に目を奪われて戸惑ってしまうかもしれません。

車内ではシルバーシートがあり、制服を着て楽しげに語らう日本人学生や、車内で眠るサラリーマン、おばちゃん達など様々な人々の姿が生活を垣間見させてくれます。窓外の景色もけして退屈させません。周囲360度、興味津々。緊張と楽しみの両方が体験できれば何よりです。

十分に事前説明を済ませて、“Well, we’re not going to lose anyone of us. We’ll make it!” なんてゲーム感覚さえ出てこればしめたもの。学生達も自分たちのグループからは迷子は出さないぞと、チームワークが整ったようです。スムーズに移動が完了して品川駅の改札を抜けたときには拍手と歓声がわきました。