第52回 嫌がられないガイドになる! 営業のポイント

通訳ガイド行脚2012.02.16

通訳案内士さんの中には、ガイドとして1、2回お仕事をもらったけどその後ぱったりと連絡が来ない・・・首を傾げながらその理由がわからないという人も少なくありません。もちろん仕事には全体量の変動があるから当然です。しかし、中には「やっぱり次は別の人をお願いしよう」と、敬遠されてしまうこともあるのです。そうならないように、ガイドの評価につながる営業ポイントをご紹介してみましょう。

上から目線の態度に注意
学校を卒業してすぐにガイド就業する人は極端に少なく、通訳案内士の多くは他の職業を経験してから、子供を育て上げて自分の時間が持てるようになってから、あるいはサラリーマンを退職してからガイドを目指す人もいます。年齢的には40~50代が一番多く、60代以上のベテランまで中年~熟年層が主流の世代です。
「大きな声では言えませんが、“先生”という文字のつく職業をしていた人は、要注意なんですよ」
と、よく耳にします。学校の教師であったり、XXX士、とかお茶お花に至るまで、とにかく人から“先生”と仰がれることに慣れた人は、無意識のうちに上から目線になりがちだというのです。「もう少し頭や腰が低くてフットワーク軽く、ハイハイとキビキビ動いてくれるといいんですけどね」

博識で世界の情勢にも詳しく、実務キャリアに自信のある熟年層の方にも落とし穴があるようです。サラリーマン時代に部長や海外支店長など重要な役職を経験していると、管理能力は優れているけれど自分がツアー現場(末端作業)で使われる身分だという頭の切り替えができない場合があるというのです。

通訳ガイドは、自らが率先してお客様の人数を数え、迷子や忘れ物を捜しに走り回り、電話連絡や情報収集をしてサービスを提供し、時にはお客様やドライバーの機嫌までとらなくてはならない立場です。「私は通訳案内士なんだから」と、ドーンと構えてお客様の前でもポケットに手を突っ込んだままなど偉ぶった雰囲気が漂ったらアウト!なのです。

もちろん、先生や管理職だった方々がすべてそうだというわけではなく、逆に元先生のリーダーシップや真面目さ、元企業勤務者の営業マインド溢れるプロ意識が高く評価されて大成功している方々もたくさんいらっしゃいますから誤解のありませんように。

世代の違う相手とのコミュニケーションに配慮を
さて一方で、通訳ガイド業務を依頼する立場の旅行会社の担当者は逆に20~30代などの比較的若い年齢の社員が多いようです。そこでどういう化学反応が生まれるかというと、若い社員が人生の先輩であるガイドと対応する時に、遠慮をしたり、時には威圧感を覚えて萎縮した気持ちになってしまいがちだということです。

ゆとり教育でまったり育てられた世代の手配・営業担当者は、「叱責されるとすぐひどく凹んで落ち込む」傾向があり、熟年層の“叩き上げ教育”感にはついてゆけないのだそうです。そういう彼らとどのようにコミュニケーションをとるか?が課題ですね、と言い切られた旅行会社の幹部がいましたが、これって旅行業界だけじゃなくどの業界にも見える現象かもしれませんね。

昔の旅行会社社員は自らツアーに出る機会が多かったので、“旅行会社の社員に尋ねれば何でも知っている”というイメージが定着していました。それはガイドや業者をリードしてゆく自信にも繋がっていたことでしょう。しかし、最近は社員が現場に出るチャンスは減少しているので、現場を熟知していないという自信のなさが微妙な緊張感をもたらしているのかもしれません。

お互い現場のことをどこまで知っているかわからない相手同士が、手探りで打合せをする時には言葉遣いに注意が必要ですね。現場経験の深い通訳案内士は、親子ほど世代ギャップがある相手の気持ちを汲み取った対応を心がけねばなりません。

「このレストランは外国人に対して的確なサービスができる」などの役に立つ情報を提供して、担当者のプライドを傷つけない程度に提案やアドバイスをしたり、コミュニケーションが取れる配慮ができる人が信頼と、仕事のやりやすさのメンタル面からは選ばれていきます。もちろん通訳ガイドの技術そのものが優秀でなくてはなりませんが。いったん信頼のある人間関係が築かれると何年経っても、たとえ担当者の勤務する会社が変わっても、お気に入りの通訳ガイドさんに声がかかって、ご長寿ガイドさん健在!の活躍が可能になる素晴らしさもあるのでしょう。