第95回 簡単な英単語ほど使い方に気をつける

通訳ガイド行脚2016.08.30

ガイド中の英語を聴いていると、単純な単語一つだけれども、その使い方に「エッ!?」と戸惑ったり、「あ!これはいい」と感心することがあります。

●例1 気軽に使いがちな“so”
「…で、」とか「えっと…」とかいう感じで“so”が文章の最初に、あるいは文章の間につなぎとして気軽に口に出る習慣になっていることはありませんか? 私の周囲ではときどき、so頻発の人が見受けられ、気になってしまうのです。

“So, ”と言われると、「ですから」とか「したがって」「その結果」「だから」という意味合いだと思い、聞く側はその前に言っていたことを踏まえて、次に何が出てくるのか? と無意識に心待ちに期待して構えます。でもそこでまったくつながりのない文章が突然出てくると、ガクッと肩透かしとなって心理的に心地よくありません。論理展開がクリアでなくなって、稚拙な印象さえ与えてしまうかもしれません。

状況によっては、soが「では、…」という使われ方で問題ないこともあるので、絶対すべてダメだという訳ではありませんが、接続に使う時“so”は、前後の意味の流れに注意して、効果的に利用したいですね。

●例2 遊覧船はshipにあらず
観光地で遊覧船に乗るのは楽しいツアーのアクセントですね。たとえば箱根の芦ノ湖は、夏は素敵なリゾート地。海賊船や双胴船などが浮かぶ光景はリラックス感にあふれてとても素敵です。さあ、その遊覧船に乗りますよ!というとき、その船のことを何と呼んでいるでしょうか?
shipと言っていたらそれは間違いなのです。なぜ?って、shipとは豪華客船のような、または軍艦のような大型の船をさして使われる言葉だからです。高くカッコよくそびえていても、安定感のある大きな船だと思っても、「あのサイズだと正しくはboat だ」と、昔、私自身もアメリカ人観光客から指摘を受けたことがありました。いつも 船=ship ではないのですね。なので湖を背にしてshipというと違和感が漂いがちなのですが、気がついていないガイドさんも少なからずいるのでチェックポイントです。

●例3 シンプルに使うコツ
全国の浅間神社や富士山の頂上には、木花咲耶姫(このはなのさくやひめ)が祀られていますが、富士山五合目の小御嶽神社にはその姉である磐長姫命(いわながひめ)が祀られています。神話によれば、姉妹二人を揃って嫁にもらってくれと頼まれた瓊々杵尊(ににぎのみこと)が、醜かった磐長姫命を受け入れなかったために、彼女がもたらすはずだった岩のような堅固&永遠性がなくなり、人間は永遠の命を持つことができなくなったというものです。
広く語られているストーリーなので外国人観光客にもご紹介をします。でもPrincess Konohananosakuya-hime, って名前は何度も出てくるけど言いにくいなあ、途中で間違ってしまいそうだと、いつもちょっとストレスに感じていました。

ところが、ガイドのMさんは、この話をFlower Princessと、Stone Princessというシンプルな表現でサラリと、わかりやすく解説して聞いている皆さんの心を掴んでしまいました。素晴らしい発想だなと感心しました。固有名詞も思い切ってオリジナルのニックネームを使ってしまう。名前の正確さよりも話の内容が重要な場合には、これもアリだな!と、絶賛してしまった一瞬でした。

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