第59回 ガイドにジョークは必須!笑いを散りばめて楽しいツアー演出を

通訳ガイド行脚2012.09.16

「笑いが絶えない楽しいツアーだった」
お客様からこんな報告をもらえば大成功。
ガイドする本人もきっと楽しい仕事として思い出に残ります。お腹を抱えての大笑いが時々、そしてその間に小笑いがちょくちょくあるとすれば、おそらく10分か15分に一度は軽いジョークが飛び交っているのでしょう。プラスのエネルギー溢れる時空間です。平均的な日本人よりも外国人のお客様はユーモアセンスに富んでいることが多く、ジョークが得意なお客様がグループの中にいると雰囲気が明るくなって超ラッキーです。真面目で教育的、時には高尚で興味深い情報提供のガイディングに加えて、通訳案内士も率先してジョークを飛ばし、楽しい演出をしたいものですね。

ポケットに忍ばせておきたい単純な小ネタ
日本語でも日頃から自然に冗談が言える人と、そうでない真面目なタイプの人がいます。私は完全に後者で、ユーモア感を出すには意識的な努力が必要です。英語でとなると緊張もあって、「英語のジョークなんて知らない。勉強して覚えなくちゃ!」って思われる方もいらっしゃるでしょう。

この夏に台湾で英語のベテランガイドさんに観光案内をしてもらった時、彼のジョーク・ネタに私たちのグループは皆、お腹をかかえて終日笑い続け、ひたすら感心してしまいました。一旦大笑いをすると、その後は彼が何を言ってもお客は面白く感じて笑う反応基盤ができあがってしまうし、彼もその期待についつい応えてしまうという図です。

旅行の疲れも吹っ飛ぶジョークとは例えばどんなものだったのか、一部、印象的だったものをご紹介しましょう。

①Religious Hotel:(宗教的なホテル)
・・・Can you see a beautiful building half way up in the mountains? Do you know what that is?That’s XXXX Hotel, a religious hotel.  (?)

When checking in, guests say, “Oh, my God, what a wonderful hotel!”

And when checking out, they say,”Jesus Christ!  It’s so expensive!”
(山腹に見える美しい建物が見えますか? あれは何かわかりますか?XXXXホテル、宗教的なホテルなんです。(・・・ん?宗教的なホテル?)チェックイン時にお客様は「オーマイゴッド! うわお、なんて素晴らしいホテルなんだろう!」と言い、チェックアウトする時にそのお客様は「ジーザスクライスト! なんて高額なんだろう!」と言います。)

これはホテルだけじゃなく、何にでも応用可能ですね。

「くだらない」と顰蹙の視線を投げかける人も10%いるかもしれませんが、ほとんどの旅行客が大笑い、大ウケです。そう、けして難しいことを言うわけじゃなく、単純なネタをいくつかポケットにいれておけば効果抜群なのですね。

②Great Appetite:(食欲大有り)

I can eat just about anything.  Anything that has 4 feet except chairs and

tables, anything that flies in the air except air planes and helicopters.

Anything in the water except submarines….
(私は何でも食べることができます。四つ足の物は何でも、机と椅子以外は。
空を飛ぶものも何でも、飛行機とヘリコプター以外は。水中の物も何でも潜水艦以外は・・・)

旅行中は現地の料理について語ったり、毎回食事のメニューを説明したり、お客様の中には食事制限がある方もいたりと、食に関する話題は尽きません。そんな時のオチに使える軽いジョークです。相手をニンマリさせてくれるでしょう。

③Wife is right!:(妻の意見は常に正しい)

If you are wondering which optional tours to choose, remember that your wife is always right.

She may not be correct and right at times, but she is never wrong.

A customer is always right, too.  He or she may not be correct and right at times,but he or she is never wrong.
(もしどのオプショナルツアーに申込もうか迷っているなら覚えておいてくださいね。奥様の意見が正しいということを。常に正確で正しいというわけにはいかないかもしれませんが、奥様が間違っていることはありません。
顧客の声も常に正しいのです。常に正確で正しいとは言えませんが、決して間違っていることはないのです。)

多くの家庭であり得る夫婦のあり方の真実を突いた、皆が苦笑してしまう哲学? です。特に女性を大切に扱うことが尊重されている欧米のカップル向けかもしれませんね。wifeをcustomerと置き換えて言い直した部分は、営業精神として国籍問わず納得してしまいそうで共感を得られます。「お客様は神様です」は、日本だけではありません。そうそう、ガイド現場でも同じですよ。いくらお客様の要望や意見が変だ、不適切だと思っても、頭から「それはダメ、間違ってる」という言い方はしない方が良さそうですね。

ジョークネタも貴重なガイドの商売道具ですから、「著作権あるぞ」などと言い出しかねない私ですが、①②③をご紹介する気持ちになったのは、思い起こせば、それらは私自身が昔、アメリカ人のお客様達から教えてもらい、当時頻繁に使っていたネタだったからです。

欧米系のお客様の間でポピュラーとなっていた定番お馴染みネタですから、長くガイドをされている方々の中にはきっとご存知の方もいらっしゃるでしょう。

(正確な言い回しは、多少違うかもしれません。)

実は台湾のガイドさんからこれらを聞いたときは新鮮な衝撃が走りました。

「あっ!同じネタだ!」

国は違っても、やっぱり同業者だなあ!と、別の意味で感激して懐かしさがこみ上げ、嬉しくなってしまったのでした。

わかりやすいおやじギャグは大いに有効

簡単でちょっとバカらしいぐらいの単純ネタが活性剤になります。「おやじギャグは立派に通用するジョークだ」という説に大賛成です。

「このお寺の本堂の瓦は何枚あるの?」

「う~ん、200枚までは数えたんですが、そのあとはまだ数え終わってないんですよ」

「江戸時代にはここには何があったのだろう?」

「私はその時代には生きてなかったので、ちょっとわかりませんねえ」

「このあたりの標高は?」

「トップシークレットです」

そんなやりとりで笑顔を創りだす楽しいガイドさんを目指しましょう。自分の語る話題について最低一つずつジョークを持つように心がければ、いつの間にかユーモア溢れて愛される通訳案内士になれるような気がします。