第72回 いずれは実現!? 外国人向けシャトル・バスツアー

通訳ガイド行脚2013.10.16

通訳案内士が活躍するツアーには、以下のものがあります。
一般募集のパッケージツアー、企業の招待旅行や特定の目的で集まった人々のインセンティブツアー、特定のテーマに沿って訪問地が組まれるスペシャルインタレスト・ツアーの団体旅行、個人旅行などです。

それらに加えて、今、定期シャトル・バスという新しいツアー・スタイルが試みられようとしています。日本語では既に東京都内で、皇居・銀座・丸の内コースや、錦秋の神宮外苑銀杏並木コース、浅草・スカイツリー等々、停車しての観光はなく窓外からの楽しみ方にはなりますが、人気のあるルートを2階建てバスが終日廻り、好評を博しています。1-2時間で、季節に合った特定の地域を予約なしでお手軽に楽しめるからです。

シャトル・バスにぴったりのルートは?
その外国人向け新コースができるとしたら、これは画期的で新しい時代にマッチ!楽しみなことです。外国人客が“ちょっとあいた時間を利用して楽しめる観光”のお手軽感は魅力的。海外ではパリを筆頭に様々な都市でこれに類似したサービスが利用できるようになってから久しいですから、観光立国を目指す日本としては、当然の動きかもしれませんね。

昔から人気のある伝統的なスポットはもちろんのことですが、新宿、渋谷、原宿、六本木など現代日本を象徴するような新ルートも興味をひきそうです。若者文化が元気な街をちょっと訪問してみたいが、自力ではどこをどう見てよいやらわからない、案内してもらえたら効率的に時間が使えて便利!
もちろん、単独でガイドさんを雇って自由に観光できれば申し分ありませんが、事前の予約が必要だったり、個人客にはガイド料金が負担になって思いとどまってしまう人もいるかもしれません。2時間ポッキリの乗り合いバスなら、一通り観てから後で気に入った場所に再度出かけて集中的に探訪するにもピッタリです。

バス内のガイドにもひと工夫が必要
さて、そんなバスでガイドをすることになったらどうしたら良いのでしょうか?ガイディングは、とにかく窓から見える物をどんどん説明してゆくのが鉄則です。
普通の観光客相手の場合には、ガイドが、お客と双方向のコミュニケーションをとりながらやるのが成功の元ですが、短時間ツアー中数ヶ所の停車場で客が自由に乗り降りするタイプの運行では、客との距離をある程度保って、一方通行的な案内アナウンスの要素が強くなります。もちろん都度、お客様の反応に合わせたガイディングは必要ですが。

客の前に立って客の顔を見ながらトークすると、反応がもろ感じられるのでガイディングトークはしやすいです。が、2階建てバスのガイド席は2階の最後部で、お客様の背後からその安全と様子を見守りながらということになるので、勝手が違います。

「右にみえるのは…」と言う時はさらにわかりやすく、右と言っても右前方なのか後方なのかわかりませんから、視線の持って行き方に戸惑うことも多いです。「右手の時計で言うと2時の方角には…」などという12時間の時計方式で所在地を示したりする工夫も効果的で、どの国の人に対してもわかりやすいでしょう。

賑わって興味深いエリアには、あいにくバスを停車することができないケースが多々あります。そんな場合には、「地下鉄や電車の○○○線に乗り、○○駅で降りれば来られます」など、声に出ないお客様の希望を察知して情報を提供しましょう。

下手をすると、ガイディングは事前に録音されたアナウンスを車内に流せば用が足りると考えられてしまうのが(我々通訳案内士にとって)最大の敵(!?)ですが、機械に負けず、生身の心でおもてなしするチャンスが増えれば良いと祈っています。