第80回 ガイドと交通手段

通訳ガイド行脚2014.06.16

最近の訪日観光客の傾向としては、
① FITForeign Individual Tour)と略される個人客が増加
② SIT (Special Interest Tour) の増加と多様化
つまり一般的な観光旅程だけではなく、特別なテーマのもとに周遊するツアー(近代建築を見る、教育施設を視察する、日本文化の体験目的など)が増加してきました。

③ 全国への拡大化 
いわゆるゴールデンルートと呼ばれる超人気の定番都市ばかりではなく、全国の観光地に外国人が出向き始めました。

以上の3点があげられます。

旅行会社の扱いだけでもFITが増えて大変だと嬉しい悲鳴が聞こえてきますが、旅行会社を利用せずに、自力で周遊するファミリーやグループ、カップルなども激増しているのです。ガイドブックを片手に、片言の日本語と英語でコミュニケーションを図って旅行を楽しむ旅行者が全世界から日本を注目!しているのですね。

SITでは実にあらゆる業界、分野で外国人客が興味を持って訪問してゆきますが、アテンドする通訳ガイドにもさまざまな専門知識や素養が望まれます。アパレル、アニメ、現代日本美術、山歩き、料理、歌舞伎などの伝統文化、医療施設…自分の得意分野を深く広く持っていると、今後は強いです。

全国に外国人観光客の姿が見られ始めたというのは朗報ではありますが、まだまだ受入れ体制が十分でない問題も山積みです。日本人でも行きにくい交通の便の悪い場所があります。たとえば沖縄でも便の悪いエリアはあります。中部地方では高山~白川郷、世界遺産ともなった冨士山周辺のエリアその他もそうです。まったく公共交通機関がない地域もありますが、長野に温泉につかるニホンザルを見に行くツアーなども、定期バスが数時間に1本来るだけでは、その1本に乗り遅れたら山中でどうなるのだろうかという不安を覚えます。時間のない外国人客にとっては効率良く周遊できることも大切です。

そんな時に、通訳ガイドがレンタカーやマイカーで案内ができたらどんなに良いでしょう。
もちろんタクシーやハイヤー、貸切車両が利用できれば問題ないのですが、それではタクシー代に加えてガイド費用を払うことになるので個人客にとっては費用がかかりすぎ、
「ガイド自身が運転して連れて行ってくれれば便利なのだが」
という声が上がってくるのです。
「車両に関わる料金を請求しなければ、通訳ガイドが車両を使って通訳ガイド業務を行っても良い」
観光庁はこのような見解なので、うまく環境に適応できればこれもセールスポイントが強いガイドスタイルかもしれません。

しかし一方で「白タク営業の助長につながる」と懸念する見方や、事故の際の保障や各種のトラブルに十分対応できるかどうかという不安点も否めません。ガイド報酬の中にガソリン代や車両経費が含まれていると見なされれば問題となりますので、このグレー部分を明確にできるかどうかがポイントでしょう。

世界の各地でドライバーガイドと呼ばれるサービスは便利で人気があります。しかし実際にはよほど慣れていないと、運転しながらのガイディングは危険との隣り合わせとも言えそうです。ガイディングそのものがしっかりできなくなる可能性もありますね。

京都の個人タクシーの運転士さんで、素晴らしい運転技術と語学力と知識でクリントン元大統領等の要人をはじめ世界中から予約が絶えない通訳ガイドさんがいます。個人タクシー営業というスケジュールが自由に調整できるメリットが活かされています。同じ運転士さんでも、タクシー会社勤務の場合だと状況も少し違います。

自転車でサイクリングしながら街を廻るスタイルもあれば、交通機関を使わずひたすら歩いてのWalking Tourもあり、そのうちにマイカー使用のガイドツアーも全国に広がる日がくるのかもしれません。