第83回 「通訳ガイドコンベンション」での意見交換

通訳ガイド行脚2014.09.16

先月末、通訳ガイドのNPO法人が主催する“通訳ガイドコンベンション”が開催され、200名を超える通訳案内士、これから資格を取りたいと思っている人、旅行業界の関係者などが集まり有意義な一日を過ごしました。

通訳ガイドにコミュニケーション能力が求められるのは当然のことですが、それは対外国人観光客だけではなく、業務現場に関わるすべてのビジネスパートナー達に対しても必要である、というのが今回のコンベンションのテーマでした。通訳ガイドのコミュニケーション力は現場でどのように評価されているのでしょうか。日頃やりとりをする旅行会社、バス会社、ホテル、通訳ガイドの代表によるパネルディスカッションで、通訳ガイドに関する意見交換がありましたので一部ご紹介したいと思います。

彼等から見て「良いガイド」「「悪いガイド」とは? 以下は本音トークからの抜粋です。

▼バス会社:
・コミュニケーション能力の高い人が求められている。バス運転士の多くは転職者で、前職はダンプトラックの運転士だった人もいる。ホスピタリティや、にこやかな対応をするのは苦手意識の高い人も多い。研修をしても良い成果が出にくいのが現状である。
・バス運行やバス運転士に関する労務規定が厳しくなったので、事前に細かく打合せをして突然のルート変更や時間変更などを避けるようにしてほしい。
・上から目線で命令するような口ぶりだと運転士からの反応も悪くなりがち。

▼ホテル:
・緊急な依頼でも快く受けてくれたガイドには感謝したい。
・下見をして最新の情報について報告をしてくれたガイドの誠意を感じた。
・終了後にお客様の動向や反応をフィードバックしてくれるのは、滞在中のお客様のサービスをする立場として助かる。
・お客様負担で同席する食事に値段の高いメニューを注文するガイドは顰蹙。
・ホテルのロビーは他の一般客も利用するので、自分のグループだけで占有しないよう配慮が欲しい。

▼旅行会社:
・声帯や体調管理を万全にして体力のあるガイドが望ましい。74才で年間100日稼働するガイドの例もある。
・お客様の立場に立ってしまうガイドは困る。旅程は予算に応じて手配されているので、安易に旅程変更を受け入れて要望を伝えて来るのは困る。旅行条件を守りつつ統率力を発揮してほしい。
・経験のない社員が手配する場合もあるので、ガイドが確認をして現場でトラブルを最低限に抑えるように動いて欲しい。

その他諸々、なるほど!と思う節のあるコメントが続出でした。

通訳ガイドが普段は考えが及びづらいバス運行に関する規定については、
※運行時間は1日(昼間)9時間まで
※実写距離は1運行につき500kmあるいは条件付きで600km
※連続運転時間は約2時間までで、4時間ごとに30分以上の休憩を運転士に与えなければならない(昼間)。2時間毎に連続15分以上(夜間)
という点も紹介されました。高速道路のサービスエリアでは、運転士も実質しっかり休憩の取れる時間が必要なのですね。お客様の世話に追われるようでは休憩時間と言えません。

通訳ガイドが気になることの筆頭に、“バス運転士のご機嫌の悪さ”というのがありますが、事前に運転士の名前も覚えておいて「運転士さん」ではなくて「○○さん」と、名前で呼びかけるなどの細かい配慮も効果があるようです。

できるだけ事前にお互い情報を出し合って、早い時点で何でも相談がしやすい理想の環境を作ることが理想です。しかし繁忙期の煩雑さの中でどれだけそれを可能にできるのかは課題のひとつだとも感じられます。

このコンベンションはGICSS研究会の10周年記念として開催されたものでした。通訳ガイドの危機管理や表現力など他のプログラムも含めて今後も通訳ガイドの発展に必要な研究発表が続き、毎年開催して欲しいという声も聞かれるなか、閉会を迎えました。