第85回 外国人添乗員と通訳ガイド

通訳ガイド行脚2014.11.16

「外国から添乗員が同行する場合の添乗員との信頼感は、ほんとに大切だ」とつくづく感じさせることが最近ありました。

日本の状況を知った上でなのか、そうでないのか不明ですが、主張が強く、ことごとくツアーの内容に文句をつける添乗員さんがいて、そんな時には一緒に働く通訳ガイドはとても腹が立ったりする訳です。
無茶難題を言う場合、中にはお客様に対して、添乗員としての自分の存在感をアピールしたい立場から細かく物言う人もいますね。

注文をつけて、自分の言った通りに変更させる腕を評価されたいタイプの人達です。そういうケースは、特に金銭の絡む諸事情については言いなりになるのではなく、どのように添乗員を納得させられるかが、通訳ガイドの評価につながることもあるのです。

一方で日本事情を熟知していて、慣れない通訳ガイドをサポートしてくれる優しい添乗員もいます。
この秋Aさんは13日間というロングツアーを担当することとなり、初めて訪れる松本城や、馬籠、金沢などの地域には夏のうちに下見をして臨みました。
にも拘わらず、
「あのガイドはツアーのことをわかっていない」
と、旅程も半分過ぎた頃、本国の旅行会社にクレームのメールを送ったお客様が出てしまったのです。あわやピンチ!の事態、ガイドの即刻交替要求が出る可能性も大です。

Aさんはたまたま体調も崩していつもの調子でガイドできないもどかしさも苦しさも重なり、辛い思いで長野から私に報告をくれました。
どうやら訪問場所を熟知して慣れたイギリス人添乗員が、慣れない地域を一生懸命案内するガイドの言葉を補ってそれとなく助けてくれたのが、ガイドにとっては逆効果となって、お客様からの信頼感を失わせてしまったのかもしれませんでした。

母国語で自信を持って案内や指示をする添乗員は頼もしく見えるのは当然です。
Aさんも私も、ガイド交替は覚悟しつつも、それでもできるだけ頑張りましょうと話をしていました。

すると、何とその添乗員はAさんを気遣って励まし、母国の旅行会社にわざわざ電話を入れて、「Aさんは誠意を持ってベストを尽くしてくれているから、ガイドの変更などは日本の旅行会社に申し入れないように」
と、頼んでくれたというのです。

(恐る恐る?)様子を見ながら日が経つにつれて、Aさんもガイドが得意な地域へ入り、調子も徐々に復活して最後にはねぎらいの言葉もお客様からもらって無事終了!事なきを得ました。Aさん、良かったネ!(^^)

添乗員にそういうフォローをしてもらえたのは、Aさんの誠意、人柄からくる良い人間関係が築けていたからこそだと思いました。知識不足や語学力不足その他の欠点があっても、やはり最終的に人間性が大事なのだなあと再認識です。

しかしながら、自分がちょっと立場のない面目を失う場面も珍しいことではありません。添乗員に助けられても、それはなるべく目立たないようにして、けして添乗員のあとをただついて行くのではなく、自分が知っている部分、できる部分は大いに通訳ガイドもお客様に存在をアピールするように、自信を持った話しぶりや態度をとる必要があると思います。

体力と精神力と、知識と、技術とが融合した“人間力”を目指すって、けして楽じゃあないですね。楽じゃないから目指しがいもある、って思いたいものです。フゥ~(笑)