第92回 築地移転までのカウントダウン

通訳ガイド行脚2016.05.26

熊本地震により被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
震災直後は九州方面への旅行を見合わせる外国人観光客が多かったようですが、旅行会社やガイド仲間からの話によると少しずつ観光客も戻ってきているようです。

マグロのセリの見学は
1日限定120人まで

近年、外国人に大人気スポットの一つが東京の台所・築地市場です。東京都中央卸売市場の築地市場は2016年11月には豊洲に移転予定ですが、移転を控えた現在の、卸売市場でのガイドの様子をお伝えしましょう。

「築地に連れて行ってください」と依頼が入ると、「セリ(まぐろ卸売り場)は見られるという確約はありませんが、いいですか?」と念を押します。中に入ってセリの様子を見るためには、前の夜からガイドもホテルに宿泊するか、あるいは暗い中をタクシーで、お客様をホテルまで迎えに行きます。都内ならホテルを朝の2時30分に出発し、3時ぐらいには勝どき門入口横のおさかな普及センターに到着して受付整理券を入手し、5時25分まで待ってからやっと見学ができる、といった具合です。

整理券は1日で最大120名と決まっていますから、先着順で定員に達すれば終了、その日によって何時に整理券がなくなってしまうかはわからないのです。予約もできません。また運よく整理券がゲットできても、待ち時間は地べたに座り込んで時間をつぶすなど、セリを見るのは楽じゃあない。でもお客様からは文句もでません。セリの活気やスリリングな動きは、見る人の心を揺さぶるのですね。六時過ぎにセリが終わると、その後、早朝の新鮮なお寿司や食材の朝食を食べるのは格別な味です。

隣接の仲卸エリアの見学は朝9時以降になれば、少人数ずつであれば入ることができます。
この少人数というのが厳しいルールでとても大切なのですが、通路は滑りやすく狭く、真剣に売り買いをしている業者さん達が行き交う忙しい仕事現場の中を通るのですから、のんびりカメラのシャッターを押していたりすると、迷惑になってしまいます。観光地ではないので、働く人たちへの配慮をガイドが注意することが必須です。ガイドが配慮を怠って、出入り禁止になりそうになった旅行会社があるくらいです。また、場内はトラック、小型特殊自動車などで混雑して危険でもあります。安全を第一にガイドは誘導に気を配らねばなりません。魚の名前、水産物の知識、卸販売の制度など、ガイドとしては勉強しなくてはいけないことが山ほどある分野だと痛感します。

市場に隣接した商店街、いわゆる「築地場外市場」ではレストランや食堂に加え、食材だけでなく、調理用器具や食器なども販売されていて、散策してもお客様の満足度が高い楽しい場所です。場内(卸売市場)は移転しますが、場外は、従来通り業者が仕入れられるようにそのまま築地に残り、新たな市場施設「築地魚河岸」として10月にオープンするとのこと。どんな受入れ体制ができるのか楽しみです。

★東京都中央卸売市場 築地市場  http://www.shijou.metro.tokyo.jp/info/01/
★築地場外市場 http://www.tsukiji.or.jp/index.html