第7回 些細な選択でストレスをためない!

通訳者のメンタルトレーニング2016.05.17

脳の疲労は簡単にはとれない

言うまでもなく、永遠に集中力を維持することは不可能です。脳のリソースには限りがあります。イギリスのことわざで「記憶は膨らみすぎた財布のようなものである。膨らみすぎるとしだにどんどんなくなってしまう」という意味のものがあります。食いしん坊の私は「記憶は胃袋のようなもの、焼肉を食べすぎるとやる気も記憶もなくなる」と記憶していますが、焼肉のお誘いが続くと自分の記憶に自信がなくなります。

人間は脳に新しい情報を次々とインプットしていくものです。ただ、これは必ずしも良いことではありません。というのは、日常生活には雑多な情報が溢れていて(広告など)、どこへ行っても脳を休めることができないからです。肉体の疲労は身体を休めれば回復できますが、脳の疲労はそう簡単にはとれません。おまけに人間が一番疲れを感じるのは、実は肉体の疲労ではなく脳の疲労なのです(失恋したことがある方ならわかりますよね…)。「なかなか通訳がうまくならないなあ、自分には才能がないのだろうか」と悩んでいるあなた。会社で一所懸命はたらいた後に通訳学校で2時間みっちり学んでも、もう脳はかなり疲れていますから最高のパフォーマンスはできなくて当たり前です。

服、食事・・・仕事以外の選択・判断は減らす

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私は通訳を仕事にしていますが、この仕事は毎日のように何百、何千もの判断を迫られます。ですから仕事以外では細かい判断(私にとっては、正直どうでもいい判断)を可能な限り減らしたい。私と付き合いがある方は知っていると思いますが、私は飲み会のときに自分で店を探すことがほとんどありません。どうしても私が手配しなければならないときはツイッターでフォロワーに聞きます。そもそもあまり店を開拓するタイプではないですし(むしろ食べ歩きが好きな人に任せたい!)、「探す」「決める」という脳リソースを消費する活動を避けたいのが本音。沖縄から東京に引っ越すとき、圧倒的な物件情報の量に知恵熱をだして寝込んだくらいですから。

仕事着も特にこだわりはありません。同じブランドの同じような柄のシャツをまとめ買いしています。女友達とユニクロに行ったときに「ユニクロでこんなに早く買い物して出る人、初めて見た」と言われたくらい、服に関しては買うものはだいたい決まっています。よそ見は一切しません。ファッションセンスのかけらもない男ですが、私はとにかく自分がどうでもいいと思うことを考えたくないのです。毎日の服を選ぶことにエネルギーを使いたくないのです。スティーブ・ジョブス、アインシュタイン、オバマ大統領、マーク・ザッカーバーグなどがだいたい同じ服をいつも着ているのにはきちんとした理由があるのです。

ついでにいえば、私は食事もだいたいいつも同じところで同じものを食べます。自炊する場合も、あまり考えずに具材を切って放り込んで放置するスープ系が多いかもしれません。あと、ビタミンBを多めに含む野菜や果物を頻繁に食べています。この記事もバナナと種無しブドウを食べながら書いていたりします。

愚痴をこぼすのもストレスに?!

林成之は『<勝負脳>の鍛え方』で、「気のおけない友だちや家族と話をすること」で前頭眼窩野という疲労の解除命令を出す部位を刺激することができると書いています。ただし、そこで愚痴をこぼすと逆にストレスになるそうです。これは私の場合とてもわかりやすい。というのは、2年前まではIRコンファレンスでの通訳を受けていたのですが、昼食時や休憩時にきまって待合室で複数の通訳者がああだこうだと愚痴をこぼしていました。そのようなネガティブな環境に身をおいても精神的に疲れるだけなので、今はIRコンファレンスには参加していません。IRに関しては、私を指名する投資家とだけお付き合いしています。

いつも「忘れっぽい」と言われる私ですが、忘れっぽいのではありません。どうでもいいことは記憶したくないだけです!(笑)

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