第12回 十把ひとからげの” Literature”は宝の山?

一行翻訳コンテスト2008.04.16

■オススメの一冊
Map付きでなつかしのアメリカへ

『The Lumby Lines』
(Gail Fraser著、New Amer Library Trade刊)

The Lumby Lines

そこで表紙に釘付けになったのが今回ご紹介するLumbyシリーズ。Gumbyじゃありません(といってもわからない人にはわからないか(^-^;)現在まで3作が発売になっている、Gail Fraserという作者による作品です。もともとフォーチュン500企業やスタートアップ企業の上級経営者をやっていたという人物なのですが、現在はフルタイムの作家となり、田舎暮らしをしているそうです。今回ご紹介するのはLumbyシリーズの第1作に当たる”The Lumby Lines”で、いかにも懐かしのアメリカといった風情のLumbyという町で、廃院となり壊れかかった僧院の建物に出くわした、東海岸からやってきたカップルが、これを旅館に改造しようと考えるという話が主軸となっています。でも田舎のことですから、コミュニティーに迎え入れられるまでには時間がかかります。いろいろ意地悪をされることもあります。そんな中に、地元紙The Lumby Linesのオーナーがいます。でも実は、その裏にはいろいろな事情があったりもするのです。というわけで、筋自体はぜひ本を手にとって読んでいただきたいのですが、マップが付いていたり、新聞の切り抜きが適宜挿入されていて、話の展開に貢献していたり、さらに巻末にはThe Lumby Readerというガイドがついていたりと至れり尽くせりだったりもします。最後にちょっとだけ抜粋しておきます。冒頭すぐのところです。
「It is also where, one winter, the Chatham Press dirtributed its annual calendars, which inadvertently showed the preceding year’s holiday dates, so although the twenty-fifth of December remained sacred, most other significant religious and historical celebrations were off as many as six days. The residents of Lumby, though, decided that it might be interesting to be out of sync with the rest of the country for just one year, so for the next twelve months, followed the written word to the letter.」
ね、いい感じでしょ。

■今月のペーパーバック
スイスイ読ませるハードボイルド
『361』
(Donald E. Westlake著、Leisure Books刊)

361

さて次は今月のエンターテインメント。今回Bordersをうろうろしていたら偶然Hard Case Crimeという、ハードボイルドの作品ばかりを集めたシリーズが発売になっていることに気づきました。コーネル・ウールリッチの発掘ものからローレンス・ブロックやミッキー・スピレーンまで、パルプ・フィクション時代の作品から最近の作品までまとめて次々と出しているようです。(ああ、やばい。)とりあえず(というかなんというか)拾ってしまったのが、「361」というウェストレイクの作品。Donald E. Westlakeというと、「我が輩はカモである」や「斧」などでもおなじみで、日本でもファンの多いミステリー作家ですが、こっちは主人公が目を覚ますと、1ヶ月病院で意識を失っていて、片眼も失っていて、自分の父親は殺されているといういかにもハードボイルドな書き出し。(まあ正確にはもう少し前振りがあるんですが。)あとはこれまたお約束の裏切り・復讐・暴力といった話の展開となるんですが、やはり文章、プロットとも達者で、すいすいと読ませてくれます。ミステリーなのでネタばれできないのがつらいところですが、このシリーズ、なかなか面白い作家がずらりと並んでいますので、www.HardCaseCrime.comあたりでどんな作品が出ているのかを見ていただくと良いでしょう。(Stephen Kingとかも入ってるんですよ。)またいかにもパルプ・マガジンを意識したような懐かしのちょっと艶っぽい表紙も必見。

■第11回 ウルトラショート翻訳課題の講評

では一行翻訳。

When murky winter dusk begins to settle over the railway station at Crewe its first-class waiting room grows steadily more stagnant. Particularly if one is alone in it. The long grimed windows do little more than sift the failing light that slopes in on them from the glass roof outside and is too feeble to penetrate into the recesses beyond. And the grained massive furniture becomes less and less inviting. It appears to have made for a scene of extreme and diabolical violence that one may hope will never occur. One can hardly at any rate imagine it to have been designed by a really good man!

今回は格調高い英語というか、少しばかりクラシカルな英語を取り上げました。Walter de la Mareに限らず、創元推理文庫の怪奇小説傑作集シリーズあたりに収録されている作品は少しばかり昔の短編が多く、原文で読むとちょっと読みにくく感じられるかもしれませんが、英文自体はいまの作家に比べるとコクのようなものが感じられ、また言葉遣いが汚くないのもいまとなっては懐かしいところ。今回取り上げたのは、”Walter de la Mare Short Stories” 1927-1956に収録されている「Crewe」という短編小説。モダン・ホラーではなく、あくまで怪奇・幻想小説といったたぐいですから、訳文を創るのにあたって、原文の雰囲気をどれだけ再現できるかが勝負です。こういうのを訳してみると、(僕自身を含めて)自分の語彙がいかに少ないのかがよくわかるはずで、また同時にプロの特にベテランの文芸翻訳家の語彙の豊かさを改めて感じられると思います。そうそう、前後をちゃんと読まないと、特に前の文章をきちんと読まないと絶対ちゃんと訳せませんよ。

では一行目から簡単に説明を。Creweはランダムハウスに「クルー:イングランド Cheshire 州南部の工業都市;鉄道線が集まるターミナル都市」とあります。発音はクルー。英国というのは緯度がかなり高いですから、murkyな冬の黄昏というのはかなり暗そうな感じ。これが駅にかかってくると、その一等待合室は(空が暗くなるのに合わせて)どんどんどよんとした感じになってくるわけですね。特に一人だけでいる場合は。で、問題文です。まずgrimedですが、動詞としては「ほこりで汚す」といった意味です。長い窓にはもうほこりがこびりついていて、failing lightはfading lightと同じような意味で、消えていく光をsift、すなわち篩を通すように入ってくるわけですが、do little more thanは、ランダムハウスの定義では次のようになります。

little more than

(1)ほとんど…も同然で,…にすぎない:

He’s little more than a puppet. 彼は繰り人形も同然だ.

(2)(数詞を伴って)たった…くらい[の]:

It took little more than an hour. せいぜい1時間しかかからなかった.

(3)…とほとんど同じくらい少なく[少ない]:

He has little more money than Ted. 彼とてテッドと同様,大して金を持ってはいない.

ですから、かろうじて通すか通さないかという感じ。このfailing lightは、先行詞としてはwindowsですが、glass roof outside、すなわち一等室の外側にあるガラス屋根からslopes inですから斜めに入ってくるわけです。あまりにfeeble、つまり微弱なので、recesses、すなわち奥まった場所まではとても届かないわけですね。その先をざっと読んでおくと、(一等待合にある)木目のどっしりとした家具はどんどんいやーな感じになってくるわけです。何か決して起こってほしくはないような極悪非道な暴力(ホラー映画「ホステル」のカバー絵みたいな感じかな)の場面のためにしつらえたもののように見えてくるわけです。これが本当によい人の手によって設計されたとはまず思えないのだそうです。こわいですねえ。イメージとして、部屋が暗くなってくる。光はほとんど差し込まない感じ。そこに一人でいるといやーな感じがしてくる。これを格調高く書くとこうなるという。

ではコメントです。

1. 細長いひどく汚れた窓からは、外のガラス屋根からの光がほんのわずかにさしこんでいる。それは、あまりにも弱々しく、窓のあるあたりを照らすのみにすぎなかった。
(*longなので細いかどうかはわからないですね。do little more thanのニュアンスをもう少し出すと良さそう。最後の部分はできればrecessesを活かしてほしかったですが、全体として雰囲気はあります。)

2. 縦長の堅牢な窓が、翳りつつある暮色から、わずかな明るさをさらに奪っている。黄昏どきの薄明かりが、プラットホームにかかるガラス屋根から差しているのだが、ひどく弱々しく、駅舎の奥の、暗い隅々にまではとうてい達することができないのだ。
(*堅牢とは書いてないよね。言葉の選び方には工夫が感じられていいんですけど、たとえばslopes inのニュアンスが消えていたりと細かいところの詰めがやっぱり甘いように思います。もっと原文と丁寧に向き合いましょう。)

3. その縦長の汚れた窓は、今にも消えそうな光を屈折させているだけに過ぎない。光はガラスの屋根から斜めに差し、あまりに弱くて奥まで届くことはない。
(*屈折というとrefractだけど、別に屈折させてはいないよねえ。outsideが消えているし。もう少し丁寧に訳すように心がけましょうね。)

4. 外のガラス屋根からの、奥まで届かないほどの弱々しい光が、ほこりまみれの細長い窓に阻まれながらも差し込んでいる。
(*failには弱まるという意味があります。The light failed.だったら、辺りが暗くなったみたいな意味。阻まれながらというのはちょっと違うかなあ。siftというのは篩。「~ながらも差し込んでいる」というと肯定的に響くかな。)

5. 細長く、気味の悪い窓の数々に、屋外のガラス屋根を透過し衰えた日光が斜めに差し込み、わずかに屈折する。だが、その光は、待合所を照らすにはあまりに微弱である。
(*ここで「気味の悪い」を出しちゃうのはまだ早い(^-^;) 別にガラス屋根を通ったから衰えたんじゃなくて、黄昏だから光が弱くなっていくんです。屈折とは特に書いてないし。The sun sloped its beams. 太陽が光線を斜めに投げかけた(ランダムハウス)。何か、小説と言うよりは論文っぽいですよ。)

6. 長く汚れた窓は、薄らいでゆく光を少し通すくらいである。その光は外のガラス屋根から斜めにさし込んでいるが、かすかな光はさらに奥の引き込んだ所まで届いては来ない。
(*意味自体としてはかなりきちんと押さえてありますが、たとえば「少し」を「かろうじて」にしてみるような細かい訳語の選択を心がけてください。)

7. 長い、汚れた窓は、ガラス天井から斜めに差し込む消えかかった光が、その微弱さのために室内の奥深くには届かないということを強調しているにすぎない。
(*「強調する」というのはどこにも出てこないよね。little more thanをきちんと辞書で引いてください。この原文だと待合室の天井がガラスだということになっちゃうよ。)

8. 煤けた長い窓は、外の硝子屋根が反射する弱い夕光を斜めに受けていた。だがその光はほとんど遮られていたし、奥まで届くには弱々しすぎた。
(*反射したら届かないですよ。failの意味は上参照。弱いと弱々しいという表現が重なっているところももう一工夫。)

9. 長くて汚れた窓は、傾斜したガラス屋根からの消えゆく光をふるいにかけているにすぎず、光は奥まった場所まで届くには弱すぎた。
(*雰囲気は悪くないんですが、傾斜しているのはlightであって屋根ではないです。イメージとしては、窓を光がばーんと抜けてくるのではなくて、ぽつんぽつんと来る感じだから、悪くはないんだけど、後の方の光は「その光」とか「光自体も」とか何かしら工夫が必要でしょう。)

10. 久しく汚れた窓からは、ガラス屋根から僅かに洩れる、頼りない光しか届かない。
(*longは形状です。原文の細かな表現がはぶかれてしまっていて、残念ながらこれではまだ翻訳以前ですね。もっと原文を大切にしましょう。)

11. ガラス屋根を通して差し込む夕暮れの光は、薄汚れた長窓から微かにこぼれ落ちる程度で、部屋の奥深くまでは届かない。
(*かなりいい感じですが、この訳だとガラス屋根と長窓の位置関係が分からなくなっていますね。また光がslopes inという部分も消えています。雰囲気はなかなか良くとらえているので、もう少し細かなところまで配慮してください。)

12. 果て尽きそうな光はガラス屋根を通り、人の手の温かみを忘れ、心の隙間を閉ざした長い窓を宥めたのである。其の押しは微かである。故にこれからの余生に向け、踏ん切りがつかないのだ。
(*申し訳ないですが、長い窓以外は、英文のどの部分が日本語のどの部分に対応しているのか分からないです。基本、原文通りの意味でいいんです。)

13. クルー駅が暗い冬の夕闇に覆われ始めると、ファーストクラスの待合室は活気を失う。一人でいるととりわけである。長いすすけた窓が、部屋の奥まで届かないほどのほんのわずかな光を外のガラス屋根から忍ばせるくらいである。 木目の重厚な家具にも段々人気がなくなる。誰も予期しなかったいたずらな末路のような情景である。誰も、それがほんとによい人にデザインされたとは想像さえつかない。
(*「ファーストクラス」だと戦前の小説という感覚がなくなってしまいますね。課題文の行は、原文にある細かい部分をはしょりすぎ。less invitingは魅力があせていく感じです。いたずらな末路は原文のダイレクトな表現からはずれすぎ。意味は分かっているんでしょうが、それをきちんと訳文に反映するように心がけてください。)

14. 外のガラスの屋根から斜めに射し込む光は衰えてきており、長くて薄汚れた窓をほとんど透過しないのだ。そのため弱すぎて、光は反対側の奥まったところにまで達しないのだ。
(*まず「だ」「だ」で語尾がそろってしまっているのはあまりよろしくないです。「透過する」はpermeateとかかな。siftだからニュアンス違いますよね。failingは辞書引いてください。)

15. 薄汚れた長窓からは、しだいに弱まる日ざしが洩れるほどにしか差し込まず、外のガラス屋根から長窓へ傾くその光は頼りなげで、奥まではとどかない。
(長窓が繰り返されるのが気になりますが、かなり良い感じです。)

16. 長くのびた窓はすすけていて、駅のガラス屋根を通して外から斜めに差し込んでくるものの、光が弱すぎて待合室上の奥まったところまで届けられない太陽を、ふるいにかけているようなものである。
(*少し足し込み過ぎかなあ。ある程度はいい線行っているとは思うんですけれど。いかんせん「太陽」を篩にかけるというのはどうもイメージがわかないです。後一歩。)

17. 長い窓は埃にまみれ、薄れゆく陽の光をわずかに漏らすばかりだ。夕陽は、外のガラス屋根から斜めに射し込んではいたもののまるで弱く、窓越しに奥まで届いてはいない。
(*夕陽とすると、まだかなり明るいような印象を受けるんですよねえ。関係代名詞節を別文に分けてしまった分だけ全体にくどくなってしまった印象があります。もう一声。)

18. 長いだけで何のおもしろみもない窓には、外のガラス屋根から入ってくる光がこぼれ落ちるだけである。そのはかない光も、部屋のずっと奥まで差し込むにはとても頼りげがないのだ。
(*「おもしろみもない」窓とは書いてないです。窓にこぼれおちるのではなくて、窓からこぼれおちるんですね。頼りげがないのではなく、弱すぎて窓の向こう側の奥の方までは届かないのでした。)

19. 埃で黒く汚れた長い窓は、外側のガラス屋根を通って斜めに降り注ぐ光を、必要以上に遮った。洩れてくる消えてしまいそうな光は、それはか細くて、部屋の奥まで届くことは無かった。
(*必要か必要でないかという価値判断は入ってないです。黒く汚れているかどうかも書いてないです。たぶんそうでしょうけど。少し多弁に過ぎるかな。)

20. 日が陰りながら、傾きかげんに、戸外の天窓から、長窓へ射しこんでくるものの、長窓は煤けて、光が漏れこぼれるのが、せいぜいで、そのあえかな明かりは、隅の方までは、届いてこぬ有様だ。
(*雰囲気はなかなかいいんですけど、ガラスはほしいところだし、前の文章からすでに黄昏時というのがわかっていますから、このままだとまだだいぶ明るい感じがしてしまいます。「あえか」は「かよわげ」で「美しい」さまですから、ここでは使えないと思います。)

21. 汚れた長窓には外のガラス屋根からの光が辛うじて差込んでいるが、その光は弱く部屋の隅には闇が残っている。
(*slopes inが消えているかな。闇が残っているとしてしまうと、かなり明るい印象を受けてしまいます。failingのニュアンスも消えていますね。)

22. 汚れた長窓が、ガラスのひさし越しに降り注ぐ黄昏の光から輝きをふるい落とし、あまりに頼りなくなったその光は待合室の奥まで届かない。
(*ひさしは出てこないです。降り注ぐというとかなりの光量でしょう。黄昏とは矛盾しますよね。輝きをふるい落としているわけではないと思います。slopes inが消えています。)

23. 外のガラスの庇からの傾いた光は、高く、すすけた窓から幾分か射し込むのだが、その張り出しより奥へは達しないほど微かである。
(*庇は「建物の外壁から差し出た,日光・雨などを防ぐための小さな片流れの屋根。のき。」です。張り出しは何の張り出しなんでしょうか。部分部分はなかなかいい雰囲気なのでもう少し丁寧に訳さないともったいないです。)

24. 長年の間に煤けた窓ガラスから落陽の光がかろうじてまばらに入ってくるが、外のガラス天井越しに斜めに射し込むその光もか細すぎて、とてもこの待合室の奥までは届かない。
(*longは単なる形状です。正確には外のガラス天井越しに光が斜めに窓から差し込む時に、その窓が汚れているために光が全面的に入ることはなく、弱くなった光はとても部屋の奥を照らせないくらいの感じですから、位置関係が少しずれてます。)

25. 煤けた窓は今にも消え入りそうな光を遮っていた。ガラスの屋根から差し込む、部屋の奥まで届かないほどの微々たる光である。
(*longが消えています。slopes inも消えてます。もっと細かなニュアンスをきっちりと訳出しましょうね。)

26. すすで汚れた細長い窓からは、外のガラス天井から斜めに射してくる弱々しい光が部分的に入ってくるだけで、それもほんのかすかな光なので、とても奥までは届かなかった。
(*細いかどうかは分かりません。failing lightは辞書で確認してください。細かなところをもう少しきちんと訳せればかなり良い訳文になると思います。)

27. 消え行く光はガラス屋根の外から差し込み、奥まで届かないほど弱々しく、汚れた長い窓はわずに取り込んでいるにすぎない。
(*前半はまずまずですが、「わずに取り込んでいる」が意味不明です。うーん。)

28. いくつかある煤けた縦長の窓に次第に翳っていく夕日が外のガラス屋根から斜めに当たっていたが、光は窓越しにちらほら入ってくるに過ぎず、はなはだ弱々しくて、その先、奥まった場所まで照らすに至らない。
(*いくつかという表現はないですね。縦長かどうかは分からないです。やや多弁に過ぎる嫌いはありますが、訳文としてはなかなかのできだと思います。もう一息。)

29. 外のガラス屋根から傾き落ちる残光は、薄汚れた長い窓に滲むばかりで、待合室の奥まで照らすにはあまり弱い。
(*かなり良い感じなんですが、滲むというのがどうにも引っかかってしまいました。ここをもう一工夫してもらえればMVPだったんですけど。)

<試訳>

埃の溜まった長窓からは、室外のガラス屋根から斜めに投げかけられた、奥まで届くにはあまりに微かな消えゆく光が、篩にかけられたように、ようやく漏れ入っている。

とか

長く、埃のこびり付いた窓は、部屋の外のガラス屋根から斜めに差し込み、あまりに微かであるが故に、その奥までは到底届かない、消えゆく光を落とすのが関の山である。

とか、いろいろ考えてみてね。

第11回ウルトラショート翻訳課題 MVP

翻訳というのは大胆さと緻密さのバランスが大切です。産業翻訳の場合は、その意味で文章全体でとにかく情報を正確に伝えることを前提に考えますが、文芸よりの場合には、同時に原文に忠実に、特にその雰囲気を伝えることも大切になります。その意味で言うと、今回の応募訳は全体にざっと意味を伝えているだけで、あるいは自分の都合に合わせて訳しているだけで、著者のメッセージをきちんととらえていない場合が少なくありませんでした。ちょっと残念。文芸の場合(まあ産業の場合も多くはそうですが)、言葉一つ一つにきちんと伝えたい意味があるので、それを訳す方がきちんと拾っていくように心がけないと、なかなか良い訳文も作れないし、自分の技量も上がっていかないと考えるようにしてください。
15と29で悩みましたが、15番、加藤理恵さんにMVPを差し上げます。次回、もう一つくらい試訳をご紹介するかもしれません。(ハワイにいるので、少しばかり使える辞書不足なので。)

■第12回 ウルトラショート翻訳課題

ということで、今回は、最初に取り上げた「The Lumby Lines」から。

The residents of Lumby, though, decided that it might be interesting to be out of sync with the rest of the country for just one year, so for the next twelve months, followed the written word to the letter.

という一文を常体(だである調)で。訳すのはこの行だけですが、最初に引用した全文をよく読んで訳してください。

それではまた来月。次は日本からお届けします。

★★訳文の応募は締め切りました★★