第20回 翻訳の勉強は生活のいたるところにある

一行翻訳コンテスト2009.01.16

■オススメの一冊
怪盗サイモン・テンプラーが大活躍!

『The Saint: Alias the Saint』
(Leslie Charteris著、Ace Books刊)

The Saint: Alias the Saint

では今月の1冊目。レスリー・チャータリス(Leslie Charteris)の『The Saint: Alias the Saint』は、たぶん僕ぐらいの年齢ぐらいの人にはきっと懐かしいはず。映画やTVシリーズ、さらにチャータリス自身の小説や共作などでずいぶん数多くの作品が世に出ています。今回読んだのは’31年の中編ですが、シリーズ自体は’28年から(チャータリスの死後の)’97年まで続いています。The SaintことSimon Templarはいわゆる怪盗とか義賊という類で、お金持ちとか悪人からしか盗みません。いつも弱者の味方です。自分のイニシャル、STに合わせた偽名を使うことから「セイント」で、また事件の現場には頭に天使の輪を被った人物の絵が描かれたカードを残していきます。The Best of Saint vol.1&2僕が子供の頃には図書館にあったような気がしますが、いまは日本語では入手困難になっているようで残念。でも何とタイミング良く、というか、『The Best of Saint』というのがちょうど発売になったばかり。800ページとなかなか分厚そうですが、たぶんすぐに入手困難になると思うので、今の内に入手するのが吉かも。ということで、こっちにリンクしておきますね。文体は割と簡単ですが、やはり戦前の作家ですから、どこか品があります。たとえば宿に到着するシーンはこんな感じ。

He drove through the little village, and came, a minute later, to his destination — a house on the outskirts, within sight of the sea. It was a long, low, rambling building of two stories, and a dripping sign outside proclaimed it to be the Beacon Inn. It was half-past nine, and yet there seemed to be no convivial gathering of villagers in any of the bars, for only one of the downstairs windows showed a light.

ごくシンプルな英語なんですが、自分ではさらっと書けないのよねえ。

そういえばコメントで暗いのとか怖いのばかりじゃなくて、ファンタジーなども読んでというリクエストがありました。昔はけっこうファンタジーも好きで、妖精文庫(知らないかなあ)のジョージ・マクドナルドの『リリス』(ちくま文庫で入手可能)や『心地よく秘密めいたところ』など夢中になって読んだ気がします。(さすがに筋までは覚えていないけど。)『リリス』は原書見つけて買ったのだけれども、たぶん箱に詰めてどこかにしまったままになっているんじゃないかなあ。残念。今年も4月にハワイに行く予定なので、今回は少しファンタジーも仕入れてきます。

■今月のペーパーバック
心理描写を極めた国際文学のさきがけ
『The Turn of the Screw』
(Henry James著、Norilana Books刊)

The Turn of the Screw

ということでつなぎに今回ご紹介してしまうのはヘンリー・ジェイムズ(Henry James)の『The Turn of the Screw』。懐かしいですねえ。書き出しからしてもうこれですから。

The story had held us, round the fire, sufficiently breathless, but except the obvious remark that it was gruesome, as, on Christmas Eve in an old house, a strange tale should essentially be, I remember no comment uttered till somebody happened to say that it was the only case he had met in which such a visitation had fallen on a child. The case, I may mention, was that of an apparition in just such an old house as had gathered us for the occasion — an appearance, of a dreadful kind, to a little boy sleeping in the room with his mother and waking her up in the terror of it; waking her not to dissipate his dread and soothe him to sleep again, but to encounter also, herself, before she had succeeded in doing so, the same sight that had shaken him.

これで2文だからいやー、すごいっす。でもこれとか『Daisy Miller』あたりは読んでおいても悪くないと思います。これは大学時代に読んだのだと思いますが、「朦朧法」という言葉はこれで覚えたのではなかったかなあ。文学の技法についてはそれほどきちんと学んだわけではないのですが、「朦朧法」と「不条理」というのはなぜか印象に残っています。ちなみに前者はambiguity、後者はabsurdだったと思います。日本語だとかっこいいけど、英語だとえらいストレートだなあ(^-^;

今年はリキを入れてたくさん仕入れてくるので楽しみに待っていてください。それまでは手元にある在庫でつなぎます。(その前に紀伊国屋のバーゲンとかあれば探しに行きますが。)では今月分のコメントです。

■第19回 ウルトラショート翻訳課題の講評
<課題文>
If I had to summarize the important early lesson I learned from TV, it would be: “Watch out — the world is full of people who want to kill you!” The western shows, for example, were infested with bad men who did nothing but grow chin stubble and ride around shooting people. Your average hero cowboy, such as Gene Autry or the Cisco Kid, could not ride his horse twenty feet without getting ambushed by bad guys packing six-guns that could shoot 17 million bullets without reloading.

<解説>
一応、前の方から…
これってカウボーイで考えるんじゃなくて、日本では時代劇、たとえば水戸黄門とか桃太郎侍とかイメージすると分かりやすいんですね。そういえば、暴れん坊将軍について、いつも突っ込みたくなるのが、老中とか勘定奉行とか成敗しているんですけど、任命したのはあんたでしょうと(笑)。任命責任はないのかと。西村京太郎の小説を読んでいると、ほとんどの列車で殺人事件が起こってるわけでこれも怖いよねえ……。

閑話休題。

TVから前に習ったことを一言でまとめれば、「気を付けろ、この世はお前を殺そうと狙っている奴らでいっぱいだ!」ということになる。たとえば、ウェスタン番組には、無精ひげを生やし、馬で走り回って人を撃ちまくるばかりの連中が腐るほど出てくる。

だから犬も歩けばではないけれども、正義のカウボーイが馬に乗れば、必ず悪党が待ちかまえてきてばんばん撃ってくると。で、なぜかそれがまた当たらないんだよねえ(^-^; そのへんのニュアンスの面白さが出せればいいんです。だからaverageというのは「平均的」と訳してしまうともうダメでしょうね。「よくいる」とか「典型的」とかの方がニュアンスとしては近いはず。hero cowboyは「ヒーロー・カウボーイ」とやるとこれもきつい。日本語だったら「カウボーイのヒーロー」とか「カウボーイの英雄」となります。Gene Autryはこれは立志伝中の人物と言えそうです。ウェスタン映画スターであり、ラジオのパーソナリティーであり、またシンガーであり、かつメジャーのアメリカン・リーグの副会長でもありました。日本で言えば加山雄三とか石原裕次郎みたいな感じかな。Cisco KidはもともとO・ヘンリーが創造したキャラクターですが、これまた映画やテレビ・シリーズですっかりおなじみになりました。そうそう、WARというグループのシングルにもありましたね。(ちなみにWARはいまだに現役。)月光仮面(笑)みたいなものだと思ってください。couldは仮定法になっています。まあ実在の人物、あるいは現在の人物ではありませんからそうなりますわねえ。ambushは待ち伏せするという意味です。「襲撃」とかでも構いません。

ここで質問を頂いた大きなポイントがあります。それはフィートとかヤードはメートルなどに直すべきか。その場合、数字はどこまで正確にするべきか。答えは文脈による、です。たとえばゴルフだったら併記でもヤードだけでも大丈夫でしょうし、逆に設計とか機械関係だったら、どう考えたって丸めたりしたら問題になります。たとえば、僕たちは普段十進法になれていますが、アメリカとかイギリスだと十二進法が頭に浮かぶのだと思います。ダースでありシックスパックとなるわけですから。でも今回の課題文で言えば、20フィート=30.48cm×20=6.1メートルということになります。ここでは感覚的な問題として、日本人だったら「ものの5メートルも行かないうちに」 がアメリカ人にとっては「ものの20フィートも行かないうちに」という感覚になるのでしょう。とすると、これを「ものの6.1メートル」とかしてもあまり意味はない。あくまで英語圏の文化に徹底してこだわるのなら「ものの20フィート」としてもいいでしょうが、まあ読んでいてピンと来ないでしょう。一つの方法論としては「ものの五、六メートルも行かない」のようにすることで距離をうまくカバーしてしまうという手もありますね。ですからこの文章では数字の部分はあまり正確である必要もないし、フィートにこだわる必要もあまりないと思います。bad guysは悪党とか悪漢とか悪いやつらといった感じ。six-gunは六連発の銃です。これは数字を丸めて五連発にしちゃたダメだよ(^-^; packingのpackは携帯するという意味です。17 million bulletsは何か中途半端な数という印象を受けるかも知れませんが、英語では特別な数なんだと思います。たとえばhttp://www.biblestudy.org/bibleref/meaning-of-numbers-in-bible/17.htmlあたりを読んでみてください。またseventeenerで死体という意味もありますからそのへんも引っかけになっているのかも知れません。いずれにせよ、そのままでも構いませんが、ここでは1700万発ではなく、まず17には英語としてのみ特別な感覚があるので、ここでは思い切って無視し、2000万発とかしてしまっても大丈夫でしょうし、日本語で言えばいっそ百万(千万)発位の方がバランスが良くなりそうです。reloadは再装填ですが、要するに弾を詰め直すこと。このあたりを踏まえて工夫してみましょう。

このあたりが一番難しいところで、たとえば「仏作って魂入れず」のようなたとえば英語圏では浮かばないような言葉の入った訳文を使うべきか、そうでないのかは判断を迷うところですね。ただこれは、何が読み手(クライアント)にとって最適であるのかという視点から判断すべきだと個人的には思っています。たとえばビジネス関係だったら、使っても特に問題がない(一番ピンとくるかたちで訳す)のに対して文芸だったらむしろ背景にある文化を含めて伝えるべきだから避けるといったかたちで処理しています。

1.
ジーン・オートリーやシスコ・キッドのような普通の主人公のカウボーイは、馬に乗って六メートルも進まないうちに、装填しなおさなくても千七百万発撃てる六連発拳銃をもって待ち伏せしていた悪者に襲われたのだ。

(「普通の主人公」ってピンとこないですよね。あととても説明的というかおもしろみにはかけてしまいます。couldのニュアンスも出そうね。)

2.
ジーン・オートリーやシスコ・キッドのような平均的なカウボーイ・ヒーローだって、馬に乗って20フィートも走らないうちに、待ち伏せしていた悪役たちが、それぞれ6つもの銃をもち、リロードもせずに1700万もの弾丸を浴びせてくるものなのだから。

(「平均的なカウボーイだって」というと、「カウボーイでさえそうなのだから、いわんや~をや」というニュアンスにも読めちゃいますよ。六つ銃を持つとちょっと撃ちにくいと思われます(^-^;)

3.
ジーン・オートリーやシスコ・キッドのような普通の主人公のカウボーイだと、20フィートも馬を走らせたら、銃弾をこめ直さずに1700万発はぶちかませてしまうような6連発銃を持った悪者が、待ち伏せしていて襲って来るのだ。

(「普通」と言われると何に対して普通なんだろうと思ってしまいます。あとこの文章だとやっぱり訳し下げた方が読みやすいんじゃないかなあ。)

4.
ジーン オートリーとかシスコキッドとか、そういう平均的なヒーローカウボーイが馬に乗って無事に20フィートと歩けたためしはない。拳銃6丁くらい持った悪者達が待ち伏せしてるんだ。で、またその拳銃っていうのも弾の補充なんか一度もしてないのに、1700万発くらい出てきちゃうんだな。

(「ヒーローカウボーイ」って何かぴんときにくいよね。「ヒーロー・ギタリスト」よりは「ギター・ヒーロー」じゃないですか。「馬に乗って~歩けた」はちょっと違和感あるかな。「ためしはない」は逆にいいと思うし、訳し下げるのもいいんだけど。銃を6丁持つと動きにくいよ(^-^;)

5.
ジーン・オートリーやシスコ・キッドといった誰でも知っているカーボーイのヒーローは、馬に乗って6メートルも行かないうちに、装填なしで1千7百万発撃てる六連発拳銃を腰に提げたならず者らに必ず待ち伏せされていた。

(「誰でも知っている」はちょっと行き過ぎかな。それなら「おなじみの」とか。couldのニュアンスはいつもとは限らないないから。「1千7百万」は単純に読みにくいです。「千七百万」でいいんでない? もう少しおもしろくできるとよかったですね。)

6.
ジーン・オートリーやシスコ・キッドのようないわゆるカウボーイは馬に跨れば、悪党共の6丁銃から放たれる装弾されてもいない1700万発の弾丸を雨のように浴びずには20フィートだって走れやしないのだ。

(いわゆるカウボーイだと雑魚キャラも含まれてしまうので、もう一工夫。装弾されていない弾丸を浴びたらこれはファンタジーからホラーでしょう(^-^;。「~だって走れやしないのだ」は結構すき。)

7.
カウボーイの並のヒーローであるジーン・オートリーやシスコ・キッドが、悪い奴らに待ち伏せされずに20フィートも馬を進められるわけもない。ワル共は、弾を詰め替えずに1700万発も撃てる6連発銃を持っているのだから。

(「並のヒーロー」ってどういうんだろう(^-^; ニュアンスとしては「ジーン・オートリーやシスコ・キッドみたいな」だよね。「6連発銃を持っているから進められない」というわけじゃないよね。「待ち伏せされる上に、連中ときた日には」みたいな感じ。)

8.
一般的なカーボーイ・ヒーローは、ジーン・オートリィやシスコ・キッドのような人物で、必ず、数メートルも行かないうちに、銃を6丁も装備した悪党どもに奇襲される。それも敵の銃は、再装弾もせずに何百万発もぶっぱなすことができるときてる。

(「カーボーイ」というと何か車っぽいぞ(^-^; 銃を6丁装備すると相当重いんで、撃ち合いにはけっこうきついよ。いや、リプリー(エイリアンの主人公)とかシュワちゃんならありかも知れないが。ただ2行目はとてもいい感じでした。)

9.
ジーン・アートリーとかシスコ・キッドみたいな、いかにもなカウボーイが馬に乗ったら、20フィートも進まないうちに悪党に襲撃されちゃったりするんだよね。6発拳銃を備えた奴らにね。しかもそれってなぜか連続で1700万発撃てるんだよね。

(名前に注意。うーん、いい感じなの。いい感じなんだけど、会話でも「~ね」を繰り返す人ってくどく感じませんか? この訳文もそれ。すごくなれなれしいというか、読み手が感じよく受け取ってくれないの。だからとてももったいないなあ。そこがなければMVPだったと思います。残念!)

10.
ジーン・オートリーやシスコキッドのような定番のあこがれカウボーイだって、愛馬にまたがって6メートルも行かないうちに悪党たちのまちぶせに遭っていた。ぶらさげた6連発銃はまさかの1700万連射が可能なシロモノだ。

(「定番=〔商品台帳に品番が固定して定められていることから〕流行にかかわりなく、毎年一定の需要が保たれている基本型の商品。」なので、やっぱりちょっと浮いているかな。「あこがれカウボーイ」って何か「ときめきメモリアル」みたいだ(^-^; 「だって」じゃないと思います。誰がぶるさげているのかがちょっと分かりにくいかな。)

11.
ジーン・オートリーやシスコ・キッドといった、みんながかっこいいと思うようなカウボーイは大体、馬にでも乗ろうものなら、一歩踏み出した途端に、弾を詰め直さなくたって何百万発も乱射できてしまう6連発銃を構えた悪者たちに不意打ちを食らうことになっている。

(「みんながかっこいい」とまでは描いてないかな。大体はなくてもいいかも。でもそれ以外の部分はなかなかいい感じなんですよねえ。)

12.
ジーン・オートリーやらシスコ・キッドなんかの、みんなの平均的ヒーローカウボーイは、6メートル位の大きさの馬に乗ろうとするのだが、そうすると決まって、最充填なしで1億7千発も打てるような銃を6本も持った悪者が、待ち伏せしているのである。

(「平均的ヒーローカウボーイ」ってピンと来ないし、ヒーローが平均的だといやじゃない?(^-^; 6メートルの大きさの馬はいないぞ、さすがに。一億は増えすぎ。「決まって~待ち伏せしているのである」の組み合わせはなかなかいいです。)

13.
ボクらが知っているふつうのカウボーイ、つまりジーン・オートリーとかシスコ・キッドみたいなヒーローのことだけれど、馬にまたがりちょっとそのあたりまで行こうものなら、決まって六連発の銃を抱えたならず者の群れに待ち伏せされていたものだ。その銃というのがまた、一回で千七百万発も連射できるという代物なのだけれど。

(「ふつう」のカウボーイがヒーローというのは少し飛躍を感じるかな。それなら「ボクらがふつうに知っているカウボーイ」にするといい感じになるかも。そのあたまでも行けないんじゃないかな。後半はとてもいい感じ。)

14.
ジーン・オートリィやシスコ・キッドのような、いわゆるフツーの英雄的カウボーイは、馬に乗って20フィートと走らせないうちに、再装填なしに1700万発は撃てるような、6連発銃を持った悪い奴らに待ち伏せされているのだ。

(「フツーの英雄的カウボーイ」ってどんなんだろう(^-^; 「待ち伏せされているのだ」だけだとちょっと弱いよね。「待ち伏せされているのがお約束だ」とか。「待ち伏せされるものだ」でもいいかな。)

15.
ジーン・オートリーやシスコ・キッドといった、よくあるヒーローもののカウボーイは、馬に乗って20フィートもいかないうちに悪いやつらの待ち伏せに会い、しかもそいつらが持っている6連発銃は再装填なしに1700万発も撃てるのだ。

(「よくあるヒーローもの」だとちょっとニュアンス変わりすぎ。でも全体の流れは決して悪くないんですが、まだ訳すということにつかまっちゃっていて、読み物としてはおもしろみができってない感じがします。もう一工夫。)

16.
ジーン・オートリーやシスコ・キッドといった、あなたにもおなじみのカウボーイの主人公でさえ、弾をこめ直すことなく、千七百万発も撃ち続けられる六連発銃で武装した悪者たちに待ち伏せされずに、馬に乗って二十フィート進むこともできなかったのだ。

(できなかったのだ、としてしまうとやはり「いわんや~をや」と思ってしまいます。あと二重否定はそのまま考えずに訳しちゃうと読みにくくなるから注意。)

17.
ジーン・オートリィとかシスコ・キッドといった、いわゆる西部劇のヒーローが6メートル先につないだ馬に易々と乗るなんてありえない。悪い奴らが必ず待ち伏せている。奴らときたら銃を6丁もぶら下げて、その銃をぶっ放す。しかも弾は入れ直さなくても限りなく出てくる。その数1,700万発、1年間打ち続けたって平気だ。

(いや、馬には乗っているんだよん。rideだから。西部劇のヒーローというのは悪くはないです。1年間はさすがにないです。あと「撃ち続ける」ですね。原文の簡潔なところがなくなっちゃっているので、そこも問題。)

18.
ジーン・オートリーとかシスコ・キッドみたいな標準的なカウボーイヒーローは、馬に乗って20フィートも進めば必ず悪党が6人一団となって待ち伏せしてるし、再装填もせずに1700万発も銃弾を撃てるものなのだ。

(いや、6人ででてくるわけではないです。6発、弾がこめられる銃ね。あとこの訳文だと、1700万発撃てるのはヒーローの方になっちゃうよ。)

19.
カウボーイものといえば思い浮かぶヒーロー、ジーン・オートリーやシスコ・キッドだって、馬に乗ったかと思えば毎度6メートルも行かないうちに、6連発銃をかまえるならず者たちの待ち伏せにあい、弾切れせずに1700万発もぶっ放せるようなそのとんでもない代物で命をねらわれるのだから。

(訳し下げようとした工夫は分かるんだけど、「そのとんでもない代物」はちょっとくどい感じがします。「おまけにその銃ときたら~なのだ」くらいでいいかな。「命を狙われる」はなくてもいいと思います。)

20.
ジーン・オートリーやシスコ・キッドといった、おなじみのカウボーイのヒーローは、いつも馬に乗って6メートルも行かないうちに待ち伏せていた悪漢に襲われる。その悪漢の持っている6連発銃ときたら、途中弾切れすることなく1700万発もつづけて撃つことができるのだ。

(「いつも」の位置は、「ヒーローはいつも」の方がいいんじゃないかな。「おなじみのカウボーイのヒーロー」はちょっとだらだらした感じになっちゃうかも。でも全体としてはなかなか良い感じで、もう少しリズム感があるとなおいいかも。)

21.
典型的なカウボーイ・ヒーロー、ジーン・オートリーやシスコ・キッズなどは、馬を20フィート進める前に、いつも1700万発補充不要の6連発銃を持った悪者に襲撃されてしまう。

(シスコ・キッドですね。「1700万発補充不要の6連発銃」はさすがにドイツ語並みに名詞重ねすぎ(^-^; これだとさすがに読みにくいです。工夫はわかるんだけどね。)

22.
ジーン・オートリーやシスコ・キッドといった代表的なカウボーイのヒーロー達は、馬に乗って6メートルも進まないうちに、拳銃を6丁もぶら下げた悪人どもの待ち伏せに遭っていた。そいつらの銃ときたら、一度も充填せずに何万発もの弾を撃つことができるのだ。

(拳銃を6丁ぶら下げると素早く動けないです(^-^; 「遭っていた」だと映画とかテレビの中の話だというニュアンスがでてないよね。後半はなかなかいい感じですが、「もの」は「でも」の方がいいかも。)

23.
ジーン・オートリーやシスコ・キッドといった、普通のカウボーイ・ヒーローは、馬に乗って6メートルも進むと、弾を込め直さずになぜか1,700万発撃てる6連発銃を持った、悪者どもに奇襲攻撃を受けるのだ。

(「普通の」としてしまうと、じゃあ、特別なカウボーイ・ヒーローとかいるのかと思っちゃいますね。「進むと」よりは「進まないうちに」かな。奇襲攻撃は「奇襲」だけの方がいいかな。ちょっと堅苦しい感じ。)

24.
カウボウイのヒーローといえば、ジーンオートリィやシスコキッドだけど、連続1700万発も撃てるピストルを6丁も持っている悪党たちに待ち伏せされたら、そりゃあ彼らだって20フィートもある馬にも乗れて当然でしょう?

(カウボウイとはあまり書かないと思います。姓と名前の間には中黒。ピストルは6丁ではなく6発入る(しか入らない。)なのになぜか1700万発も撃てちゃうというニュアンスです。20フィートある馬に乗るのはすごく難しいと思います。というか、いたら引きます。)

25.
ジーン・オートリーや、シスコ・キッドといったような、いわゆるカウボーイのヒーローは、5~6m馬を走らせる間に、必ず悪役に待ち伏せを食らっていたものだ。しかも悪役ときたら、再装填せずに1700万発も撃てる六連発銃なんてのを持っていた。

(縦書きを考えると「~」はちょっと微妙かも。けっこうこの訳文惜しいところまできているんだよねえ。「しかもその悪役がまた~持っているのだ」みたいにするとぐっと文章が締まると思います。)

26.
カウボーイと言えば誰もが頭に浮かべる、ジーン・オートリーやシスコ・キッドのようなヒーローは、馬にのって5メートルも行けやしない。充填しなくても1700万発ぶっ放せる、6連発銃を持った悪党が待ち伏せしているのがお約束。

(「誰もが」としちゃうときついんでたとえば「まず思い浮かぶ」とか。これ結構いい感じなんですが、もう少し文章のリズムがあるとなお良かったです。できれば提出前に声に出して読んでもらうと良かったなあ。)

27.
何しろ、ジーン・オートリーやシスコ・キッドといった標準的なカウボーイヒーロー達ときたら、弾切れ知らずで千七百万発も撃てる拳銃を六丁ずつ隠し持った悪者どもの待ち伏せ攻撃を食らうこと無しには、馬を七メートル進めることすら出来やしない。

(うーん、「標準的」というのがまず引っかかる。「典型的」でしょうね。そのあとの「弾切れ知らず」はすごく良いです。ただ二重否定を原文通りに訳してしまったので、この感じで訳し下げてくれればすごく良くなったと思います。)

28.
ジーン・アートリィやシスコ・キッドのようなあなたが考える標準的なヒーロー、カウボーイは、リロードなしで1700万発の弾丸を吐き出す6つのピストルを装備している悪党に待ち伏せをくらうことなく、馬で20フィート進むことすらできやしない。

(名前はきちんと調べましょうね。特にこれくらいの有名人だとさすがに定訳がありますから。「あなたが考える標準的なヒーロー」はちょっとくどいかなあ。ここでも二重否定をそのまま訳したのでやっぱりちょっとピンと来にくくなっています。)

29.
ジーン・アートリィやシスコ・キッドのような定番のカウボーイ☆ヒーローは、ちょっと馬に乗れば、数え切れないほど大量の弾丸をセットした6連発銃をいつも腰につけている悪党どもと、必ず闘うことになる。

(同じく名前は調べましょう。定番については上にコメント済。あと、物理的に「数え切れないほど大量の弾丸」を「6連発銃にセット」するのは無理です(^-^; 悪党どもがambushしているというニュアンスは訳しましょう。)

30.
ジーン・オートレイあるいはシスコ・キッドのようなおなじみのカウボーイの英雄が愛馬に乗って5~6mも進めば、早速ならず者たちの待ち伏せを受ける。彼らが手にした「6連発拳銃」ときたら1,700万発もの弾を連射できる代物だ。

(名前はチェックすること。6連発拳銃を「」でくくったのはなかなか良いアイデアです。でもそれなら「なぜか1,700万発」みたいにした方がもっとリズムが良くなるよねえ。)

31.
ジーン・オートリーとかシスコ・キッドなどのような、いわゆる力も才覚も平均レベルしかないカウボーイヒーローなんかは、馬にまたがったはいいが10メートルも行かないうちに、必ずと言っていいほど悪党たちに取り囲まれてしまうのだった。その悪党たちは6連発銃を持っていて、その気なら、全員の合計で1000万発以上もの弾を続けて撃ち込める状態だった。

(ああ、これはやり過ぎの上に事実と違っちゃっている。「力も才覚も平均レベル」どころではないんですよ。このaverageは平均的というよりは典型的に近く「いわゆる」が近いんです。10メートルよりは5メートルの方がいいと思う。取り囲まれるとは書いてないし。その気になるかならないかではなく、なぜか弾を込め直さなくてもいっくらでも撃てちゃうというニュアンス。31さんは逆にまず原文に忠実に訳す訓練をした方がいいです。)

32.
ジーン・オートリーやシスコ・キッドみたいなごく普通のカウボーイのヒーローが、一度も弾を込め直さずに17万発も発射できるような銃を6丁も引っ提げて待ち伏せている悪党達の前を、たかが20フィートだって馬に乗って突っ走るなんてことが出来る訳がないのだ。

(これもちょっとピンと来にくいです。訳し下げた方が良かったかな。「悪党たち」に対する形容詞句が長すぎるんですね。実際に何が起こっているのかを頭の中で想像してみるといいですよ。)

33.
ジーン・オートリーやシカゴ・キッドといったみんなのヒーロー的カウボーイは、馬で5メートルも行かないうちに必ず待ち伏せに遭い、その悪党どもときたら弾込めもせずに1700万発もぶっ放す6丁拳銃野朗なのだ。

(「ヒーロー的カウボーイ」ってちょっとピンと来ないよねえ。個人的には「拳銃野郎」(字は違うが)は好きなんですが、6丁拳銃だと拳銃を6丁持っていることになるよねえ。もっと辞書引きましょうね。)

<試訳>
ジーン・オートリーやシスコ・キッドのような、いわゆる正義の味方のカウボーイなら、馬をものの五、六メートルも走らせないうちに、六連発の銃を手に待ち伏せしていた悪党に襲われるというのがお約束。ちなみにその銃がまた、弾を込め直さなくても百万発はぶっ放せるという代物ときている。

<全体講評>
six-gunsの誤訳が目立ったかな。全体的に意味の取り間違えは少なかったんですが、ちょっと読みにくかったり、リズムが悪かったりというのも散見されましたので、やはり提出前に音読してもらいたかったなあと思います。

第19回ウルトラショート翻訳課題 MVP

11さん、13さん、25さん、26さんが良い感じでしたが、部分部分では見所のある人も多かったです。もう少し全体のバランスが取れるようにね。個人的な好みで佐藤志敦さんにMVPあげます。みんな精進してねえ。

<次回の課題文>

今回はちょっとだけ趣向を変えてみましょう。僕の好きなものの一つ、というか、この世で一番好きなものの一つがハワイの写真というか風景。それはライヴカムでも、ウェブサイトの壁紙でも、写真集でもいいんです。今、手元にあるのは『America Flying High』(Jim Wark、White Star Publishers)という写真集。アメリカの主要都市や大自然の風景などをすべて航空写真で撮影したというものです。写真のイメージはこんな感じ。(実際にはワイキキがもっとよく見えています。)
http://www.destination360.com/north-america/us/hawaii/oahu/diamond-head.php
で、今回訳していただきたいのは、その写真のキャプション。

Perpetually battered by ocean’s waves, the sinuous coastline west of Diamond Head shows one of the most exciting views of the planet; Waikiki and Honolulu nestled in the lush Hawaiian greenery.

お約束ですが、それっぽく訳してね。メッセージもお待ちしてます。mixiにもいるじょ。それではまた来月。

★★訳文の応募は締め切りました★★