第26回 人生何があるか分かりません

一行翻訳コンテスト2009.07.16

■今月のペーパーバック
アメリカの冒険・推理小説
『Nemesis』
(Bill Napier著、Headline Book Publishing)

Nemesis

では今月の一冊目。今回のハワイ行でゲットした新作の一つですが、Bill Napierの『Nemesis』をご紹介。アメリカの小説の一つの潮流が、いわゆる冒険小説になると思うのですが、広義ではジャン・ル・カレのエスピオナージュものとか、推理小説もその中に入ってくるのかも知れません。そのような中で、やはりダン・ブラウンの「天使と悪魔」や「ダヴィンチ・コード」によって、単なるアクションではなく、知的なパズルと組み合わせたスリラーとしてのこのジャンルの楽しさが改めて見直されたように思います。僕の印象に強く残っているのは、やはり「薔薇の名前」(ショーン・コネリー主演で映画にもなりました)なんですが、現代と過去を結ぶという謎解きはいつも心躍るものです。『Nemesis』は、学会で異端扱いされている物理学者、ウェブ博士がビバークしていた雪山から連れ去られるシーンで始まります。行き先はメキシコ国境近い天文研究所。そこで博士は、集められた西側を代表する知性の持ち主たちと共に、地球に衝突し、アメリカを壊滅させると考えられる小惑星の存在について告げられます。与えられた時間は五日間。博士たちは小惑星を見つけだし、アメリカを救うことが出来るのでしょうか。というのが基本的なアイデアですが、ポイントはこの解決先がどうやら十七世紀に書かれたラテン語の文書の中にありそうだということ。そこから、話は一気に面白さを増しています。著者自身が学者さんなので、専門的な内容も盛り込まれており、辞書を引き引きの読書になりましたが、なかなか面白いので、ぜひ読んでみてください。文章はこんな感じ。(課題には出しませんから(^-^;)

Judy nodded. “Schooner was 35 kilotons, Sedan a tenth of a megaton. But I agree, mostly like Jangle or Teapot, they were just a kiloton or two. You don’t want the neighbours screaming when you set off your A-bombs.”
“Can you do a least squares fit?” McNally asked.
“It’s been done.” She clicked again, and a graph appeared on the screen. Shafer got there first: “So, if we believe the fit, a one-megaton surface bomb excavates a crater six or seven hundred metres across. The crater could be as big as Nemesis. We’d shatter it.”

■オススメの一冊
ちょっとしたトリビアを英語で
『The Geeks’ Guide to World Domination』
(Garth Sundem著、Three Rivers Press)

The Geeks' Guide to World Domination

では今月の二冊目。今月はGarth Sundemの『The Geeks’ Guide to World Domination』を。こちらは、短い見出しが数多く並べられたギーク(オタク)向けと称するユーモア本。勉強になる項目(周期律表とか)もあれば、陰謀説についてのエントリーもあり。一つ一つが短いので、電車の中で読んだり、トイレに置いておいて読んだりするのがいいかも知れません。中にはギターで3つのコードが弾ければ、演奏できる33曲なんていうのもあります(苦笑)。ちなみにどんなのが入っているかというと「I Shot the Sheriff」とか「Sittin’ on the Dock of the Bay」とか「Puff, the Magic Dragon」とか。一方で、絵入りのクイズとかもあって、「6時をはさんで、長針と短針の距離がちょうど同じ位置に来る時間は何時何分かを答えよ」というのがずっと分からないんですが……。中はこんな感じ。

How long you can sleep on your arm without losing it

It’s two in the morning, and you wake to find that someone has grafted a zombie arm to your left shoulder. You command it to move — no response. You poke it with your right hand — no response. You throw it against the wall — no response. Don’t worry: It’s extremely unlikely it will remain zombified forever. However, medical literature disagrees as to exactly how unlikely. The current guidelines for tourniquet use suggest a one-hour maximum for restricted blood flow to upper extremities and a two-hour maximum for lower extremities, but also admit that the onset and degree of tissue death (necrosis) varies according to patient age and physical condition.

楽しいでしょ? でも英語でちょっとしたトリビア勉強するのも悪くないと思いますよ。

では今月の課題文に行ってみましょう。

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