第27回 老後の計画をしながら・・・

一行翻訳コンテスト2009.08.16

■オススメの一冊
田舎で活躍する調査官
『Dark of the Moon』
(John Sandford著、Berkley)

Dark of the Moon

では今月の1冊目から。これまでに一度取り上げたことがある作家ですが、John Sandfordの『Dark of the Moon』をご紹介。サンドフォードというと、「Prey」シリーズ(「獲物」シリーズとして邦訳も出ています)で非常に良く知られている作家ですが、僕が昔ミネソタに留学していた関係もあって、このミネソタを舞台としているシリーズは発売になるたびについ買っては読んでしまいます。一種のサーガなので、主人公のルーカス・ダヴェンポートはいつの間にか子持ちで、すっかりミネソタ犯罪捜査局のお偉いさんになってしまっているわけですが。さて、この『Dark of the Moon』は、ルーカスもののサイド・ストーリーというか、ルーカスも登場しますが、あくまで脇役で、本作の主人公は調査官のヴァージル・フラワーズ。離婚歴3回。長髪の見た目は警官には見えない人物です。彼がブルーステムという田舎町にやってきたのは、そこで起こった夫婦の殺人事件の調査を支援するためだったのですが、事件はいきなり連続殺人事件へと展開して行くことになります。何しろ小さな町のことですから、犯人はその住人の誰かなのですが、その動機とは? なかなか面白いんですよ。当然、ロマンスとかもありますが、それ以上に田舎の風景描写が魅力的。

The old town of Bluestem, named for a prairie grass, lay almost a mile north of I-90. Over the years, the space between the old town had filled up with the standard franchise places — McDonald’s, Subway, Country Kitchen, Pizza Hut, Taco John’s, a Holiday Inn, a Comfort Inn, a Motel 6; four or five gas stations with convenience stores, the Ford dealership, and two used-car lots. There were also a half-dozen farm and truck service shops, with worn tires stacked outside and muddy-yellow driveway puddles from the overnight rain.

本作が(たぶん)シリーズの最初の作品となるので、これを機会に良かったらぜひご一読のほどを。

■今月のペーパーバック

ネット上の会話が本に
『ttyl』
(Lauren Myracle著、Harry N. Abrams)

ttyl

2冊目は、Lauren Myracleの『ttyl』。現在はシリーズものとして3冊が発売されている実験的な小説です。といっても難しい意味での実験ではなくて、Internet Girlsシリーズと名付けられている通り、3人の女子高校生の間のインスタント・メッセンジャー上における会話のみで創り上げられているということ。この世代の子たちですから、ボーイフレンドとか先生、酒とか親とかの話題が次々と展開していきます。ポイントはメッセンジャー上なので、独特の表現がいっぱい出てくること。たとえば、タイトルのttylというのはTalk to you laterの略です。実際ちょっとだけ引用するとこんな感じ。

SnowAngel:  Hey, mads! 1st day of 10th grade down the tube — wh-hoo!
mad maddie:  hiyas, angela. wh-hoo to u 2.
SnowAngel:  did u get the daisy i put in your locker?
mad maddie:  i did
mad maddie:  what’s the story?
SnowAngel:  i just know that the end of the summer always throws u into a funk, so i wanted to do something to defunkify u.

こんな感じ。楽しそうでしょう?では今月の課題に行ってみましょう。

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