第34回 新しい時代の翻訳ツール

一行翻訳コンテスト2010.04.16

■オススメの一冊
古典的なホラー作品
『The Bone Factory』
(Nate Kenyon著、Leisure Books刊)

The Bone Factory

ということで、今月の一冊目。Nate Kenyonの「The Bone Factory」。カナダのジャクソンという町で水力発電所が再開されることになります。優秀な技師でありながら、上司と対立したことから解雇され、しばらく失業中だった主人公のデヴィッド・ピアースは、面接に合格し、この発電所を任され、妻、それに娘のジェシーを連れて、この町に転居してきます。新しい希望にあふれた生活が始まるはずでしたが、やがて次々と陰惨な殺人事件が起こり、町は恐怖のどん底に置かれていきます。実は、ジェシーには特別な能力があり、彼女は「青い男」の幻視にとらわれるようになるのです。ミステリー仕立ての部分もあり、スティーヴン・キングの「The Shining」風のところもあり、古典的なホラー作品ですが、なかなか楽しめるはず。こんな感じ。(ちょっと怖いところはやめときます。) Heは保安官補で、行方不明の少女を捜しているうちに、虐殺の現場を見つけてしまい、あわてて逃げようとしているところです。

The doorknob was slick in his gloved hand, old and slippery metal, and then the door opened and he stumbled into the cold. The smell would not leave him, it followed him as he struggled across the snow, and then he saw his tracks and there were another pair; oh Christ, another pair, and he spun around wildly, losing his balance and dropping his gun.

ちなみに失業と言えば、扶桑社新書、堤未果著「アメリカから<自由>が消える」は必読。いまのアメリカがどんな状態にあるのかを言論弾圧という視点から描き出しています。生後11歳の子供がテロリストの可能性がある危険人物として飛行機にそのまま乗れないという状況が気になるなら、ぜひご一読を。でも、これは対岸の火事ではなく、いま全国で「非実在青少年」規制問題というのが起こっており、日本でもいつの間にか言論の自由がなくなりつつあります。(もしかしたらこれを書いている僕も危険人物としてリストに載っているかも……。)

■今月のペーパーバック
ミイラが登場するアクション・ノベル
『Excavation』
(James Rollins著、Harper刊)

Excavation

もう一冊は、James Rollinsの「Excavation」(にしよう。)最初に見つけたのが「Subterranean」のPBだったような。アクション・ノベルの作家さんです。どの作品もやや長いのと、初期の作品は文章力がやや弱いのが難点でしたが、そういうのが気になる人も、最近の作品なら(たぶん)大丈夫。もともとエドガー・ライス・バローズ(知らない人は創元推理文庫を読もう)とかエジプトの発掘ものが好きだったそうで、雰囲気はジュール・ヴェルヌとかH・G・ウェルズを現代に持ってきたような派手な話が多いです。これは2000年の第2作で、アンデスで見つかった500年前のミイラ、そして謎の遺跡、侵入者を迎える罠の数々、そして財宝とお約束がいっぱい出てきます。そして最後に行き着いたところで見つかったのは……。続きは原作でどうぞ。ちなみに文章はこんな感じ。

Built in a high saddle between two Andean peaks, the newly discovered jungle city spread in terraced plazas across half a square mile. A hundred steps connected the various stonework levels. From Sam’s vantage point among the remains of the Sun Plaza, he could survey the entire pre-Columbian ruin below him: from the homes of the lower city outlined in lines of crumbling stone, to the Stairway of the Clouds that led to sun Plaza on which they perched.

ではコメント行ってみましょう。

ページ: 1 2 3 4