第36回 翻訳者としてレベルアップするために

一行翻訳コンテスト2010.06.16

■オススメの一冊
コンピューターを舞台にしたスリル本
『Daemon』
(Daniel Suarez著、Signet刊)

Daemon

先月の「Contest」楽しんでいただけましたか? 久々にめちゃくちゃハマったので、Matthew Reillyの他の小説も取り寄せちゃいました。今は「Ice Station」読み中。今月ご紹介する一冊目もページターナー。Daniel Suarezは、新人作家で、もともとシステム・コンサルタントです。そのファースト・ノベル、「Daemon」は、タイトルから分かるようにデーモンを扱った作品。デーモンといっても小暮でも悪魔でもなく、コンピューター用語で「システムの保守や運用に関連したこまごました作業を自動的に処理するプログラム.通常,バックグラウンドで待機していて必要に応じて呼び出され実行される.」(コンピュータ用語辞典第3版)のこと。ソフトウェア会社のCyberStorm社の社員が連続して殺害されます。1人はいつも通っている道路に張られたワイヤーで、もう1人はサーバー室の入り口に仕掛けられた高圧電流で。操作を担当することになったピーター・セベック刑事は、この事件の背後に、天才的ゲーム・デザイナーにしてプログラマーのマシュー・ソボルの存在があることを知ります。しかし、マシューは既に死んでおり、自らの死とともに、デーモンを使って文明を破壊しようという計画を練っていたのです。果たしてピーターは、姿を持たない敵との戦いに勝利することができるでしょうか。という感じ。ちょっと機動警察パトレイバー劇場版に似てますが。(インスパイアされたか?)文章はこんな感じ。

“Just one problem. Sobol couldn’t call me on the phone. I got a phone call this morning from someone pretending to be an FBI agent. He told me to check my e-mail — and that’s what led me to Sobol. So someone else is coordinating this.”
Ross was shaking his head. “It could have been VOIP — voice over Internet protocol.”
Sebeck glared at him. “Have I stepped through a fucking time machine? Was I asleep for the last decade or something?”
“VOIP went mainstream in the corporate world years ago. It saves on phone bills by directing voice communications over Internet servers instead of long-distance telephone lines.”

こちらはちょっとえぐいところもありますが、ハイテンションの小説好きならたまらないはず。コンピューターの世界を知る上でもちょっとだけおすすめ。

■今月のペーパーバック
ドーナツのレシピ付きコジー・ミステリ
『Glazed Murder』
(Jessica Beck著、Minotaur Books刊)

Glazed Murder

では次に2冊目へ。こちらはJessica Beckのドーナッツ・ショップ・ミステリー。Jessica Beckの「Glazed Murder」。スザンヌ・ハートは、仕事のない俳優だった夫と離婚して、もらったお金でドーナッツショップを開きます。ある早朝、ドーナッツの仕込みをやっていると、店の外で物音が。誰かが車から店の常客の1人だったパトリックの死体を投げ捨てていったのです。こう書くと、どぎつそうですが、実際には典型的なコジー・ミステリー。謎解きと一緒にスザンヌの日常、すなわちドーナッツ作りの仕事がさらっと書かれています。ということで、ドーナツのレシピ付き(笑)。ミステリーを読みながら、ドーナッツの作り方も学べるという素敵?な小説となっています。ドーナツ作りというのも大変な仕事なんだなあと読みながら感心。(特に早起きは辛そう(^-^;) 文章はこんな感じ。
Trust me when I say that I usually lead a pretty ordinary life. It’s not every day that I stumble across a body while I’m working at Donut Hearts, my handmade-donut and premium-blend coffee shop perched on the edge of the downtown district of April Springs, North Carolina, population 5,001.
But this was anything but ordinary.
Someone had dumped a body in front of my shop in the darkness of night as I watched, and then sped off into the shadows before I could react to what I’d seen.

さらっと読めますので、ぜひ。では、本文行ってみましょう。

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