第65回 翻訳者も教養を豊かに――Google入社試験本を紹介

21.
ほとんどの一卵性双生児はどちらが先に生まれたかを知っている。実際、子どもの頃我々双子はしつこくそれを知ろうとしたが、両親は拒否したものだ。考えられるすべての方法で尋ねたし、話してくれと懇願したことさえあった。しかし聞き出せた情報というのは私たち二人の間にはたった5分の違いで生まれたということだけで、しかもそれは大した問題ではないというのだ。

<コメント>「子どもの頃我々双子は」は読点がないので読みにくいです。「懇願」はちょっと子供には浮く感じ。後半は良いですね。

22.
多くの一卵性双生児は、どちらが先に生まれたのかを知っている。実は私たちも、子どもながらに必死に知ろうとしたのだが、両親は答えてくれなかった。考え付く限りのあらゆる方法で聞き出そうとしたし、泣きついて頼んだりもした。しかし知ることができたのは私たち2人の誕生時刻の差はたったの5分で、それはあまり重要ではないということだけだった。

<コメント>なかなかうまくまとまっていますが、「誕生時刻の差」が少し硬い感じを受けます。

23.
一卵性双生児のほとんどは、どちらが先に生まれたかを知っている。実のところ、子どもの頃、私たちもしつこく知ろうとしたのだが、両親は話してくれなかった。私たちは、思いつく限りのいろんな訊き方をした。お願いだから教えてくださいと頼み込んだことさえある。しかし、どうにか聞き出せたのは、私たち二人がたった5分差で生まれたことと、そんな時間差は本当につまらないことだという2点だけだった。

<コメント>前半はなかなかよくまとまっています。ただ後半は意味がきちんと取れているのに、「本当につまらないこと」としてしまうと少し強すぎたのがもったいなかったですね。

24.
一卵性双生児の多くは、どちらが先に生まれたか知っている。僕らも幼いころ、やはりどちらがお兄さんなのか知りたくて、何度となく両親に聞いたが教えてもらえなかった。僕らは思いつく限りの方法で尋ね、お願いだから教えてと懇願しさえした。が、両親から引き出せた答えはたったこれだけ。「2人が産まれた時刻はたった5分しか違わないのだから、兄も弟もないんだよ」

<コメント> 「懇願」がおしいなあ。最後の所は工夫を買います。

25.
一卵性双生児というものは、どちらが先に生まれたのか大抵は知っているものだ。僕らも、子供の頃はそれを知りたくて両親にしつこく訊いてみたのだが教えてもらえなかった。考えつく限りの手段を使って聞き出そうとしたし、教えてくれと懇願したこともあった。が、やっとのことで聞き出せたのは、僕らがわずか5分の時間差で生まれてきたということだけで、5分の差などというものは、存在しないのと同じことだった。

<コメント>「それを」はもう一工夫。「懇願」はやっぱり子供にはちょっと合わない感じがするんですね。最後の部分はちょっと意味がずれていると思います。

26.
おしなべて双子というのは、どちらが先に生まれたのか知っている。現に僕らは子供のころ、どちらが先だったのかを執拗に知ろうとした。が、父と母は答えを拒んだ。あらゆる手を尽くし、泣き落としまで試みた。でも、それで聞き出せたことといえば、僕らの生まれた時間の差は5分しかないということと、どちらが先かなんて別に重要じゃないということくらいだった。

<コメント>「知ろうとしたが、両親は」の方が流れがいいのではないかなあ。それ以外は流れも良いのでとてももったいないです。
<余談> それぞれの人に違った価値があると思います。いずれにせよねじれは続くので来年の夏の参議院が大切になるんでしょうね。僕にとって一番大切な価値は「命と平和」かな。来年もよろしく。

27.
たいていの一卵性双生児は、どちらが先に生まれたかを知っている。実は、私たちも子どもの頃、何とかしてそれを調べようとしたのだが、両親は頑として答えてくれなかった。思いつく限りのやり方で、時には泣きついてでも教えてもらおうとした。でも、やっと両親から聞き出したことは、二人が生まれた時間の差はほんの五分間で、そんなことはどうでもよいということだった。

<コメント>「調べようとする」だと両親以外からも聞き出そうとした印象を受けますが、その次の文章からいうと両親から、でしょうね。「ようやく聞き出せた」の方が落ち着くかな。
<余談> どちらが先かなんて些末なことだということですね。

28.
たいていの一卵性双生児は、どっちの方が先に生まれたのか知っている。実際、子供のころ、私たちは躍起になって真相を突き止めようとしたが、両親は明らかにしてくれなかった。考えうるありとあらゆる方法をつくして質問し、教えてくれと熱心に頼んだことすらあった。だが、私たちに聞き出すことができたのは、二人の生まれた時間の差はたったの5分、どっちが先かなんて全く気にする必要はない、ということだけだった。

<コメント>「躍起になって真相を」は少し大げさな感じを受けます。(別に事件ではないしね。)pleadは「熱心に頼んだ」よりは強い気がします。最後の方はいいですね。
<余談> 結局のところ、僕たちは投票行動やデモを通じてしか意志を示すことができません。それでも僕自身官邸前デモに行きましたが、やはりそれで再稼働にブレーキがかかったのは事実だと思います。

29.
一卵性双生児の多くはどっちが最初に生まれたか知っている。それは一卵性双生児にとってとても重要でしつこく知りたがるものだからだ。何度もいろいろな手を使って、時には懇願したりしたけど、それでもぼくの両親は教えてくれなかった。唯一聞き出せたことは5分差でこの世に生まれてきたということ。でもその情報はぼくらには意味がないのだ。

<コメント>後半がやや弱いですけど、全体のトーンは良いと思います。「一卵性双生児」が反復になっているのはちょっとまずいかな。「~とって」というわけではないと思います。「懇願」というのは子供っぽくないんですね。that節は並列なので活かして欲しかったです。
<余談> まあ、そういうこともあります。事故は突然やってくるからこわいですね。

30.
ほとんどの一卵性双生児はどちらが最初に生まれたのかを知っている。実の所、子供のころ私達は絶え間なくそれをつきとめようと試みたが、両親は拒否した。考えうる全ての方法でお願いし、懇願することさえあった。しかし私達が引き出すことができた唯一の情報は、生まれた時間の違いはわずか5分でそれは全く重要ではないということだった。

<コメント> 少し漢字が多くて硬い感じを受けます。「私たち」とか「実のところ」とか、少し開くだけでずっと読みやすくなりますね。「懇願」とかも子供っぽくはないかな。
<余談> そうですね。まず正確に理解し、訳せないと先へ進めないということです。

31.
たいていの一卵性双生児は初めに生まれてきたのがどちらかわかっているものだ。実のところは子ども時代、答えを探り出そうと執拗に試みたが、親には断然拒否された。思いつく限りの仕方で問い、話をしようと懇願までした。しかし引き出せたのは、双子の生まれ出た時間差はたった五分という情報だけで、それはまったくどうでもよいことだった。

<コメント>「実のところは……拒否された」の部分が読みにくくなっています。thatの並列も注意。もっと色気のある文章を。

32.
大抵の一卵性双生児は生まれた順序を知っている。僕らにしても幼い頃、突き止めようと躍起になったのだが、両親は頑として教えてくれなかった。思いつく限りの方法を使って知ろうとしたし、話してくれるように懇願してもみた。そうまでしても分かったことは、生まれた時間が5分しか違わないということだけで、だからして何の意味もないのだと済まされてしまった。

<コメント>「たいてい」は開きましょう。「懇願」は何か子供っぽくないんですね。「そうまでして」かな。「済まされてしまった」という価値判断はないような気もしますが。

33.
ほとんどの一卵性双生児は、自分たちのどちらが先に産まれたかを知っている。実は僕たちは、子どもの頃に執拗なまでに産まれた順番を知ろうとしたが、両親は答えなかった。僕たちはありとあらゆる方法で、時には懇願してまで、教えてくれるよう頼んだ。しかし、やっとのことで手に入れた唯一の情報は、産まれた時間はたった5分しか違わなかったので、順番は大して問題ではなかったということだった。

<コメント>「執拗」とか「懇願」という言葉は確かに今になって大人として振り返るとそういう言葉が使えないこともないとは思うんですけど、子供らしくないんですね。「しつこく」とか「泣き落とす」とかいろいろ考えられると思うんですが。「やっとの事で手に入れた情報」も自分の親からだから層は言わないんじゃないかなあ。
<余談> そういえば、昔東大の付属でそういう実験やっていたような気がします。

34.
ほとんどの一卵性双生児は、どちらが先に生まれたかを知っている。ところが、子供の時、私たちは、どうしてもそれを知りたかったのに、両親には教えてもらえなかった。思いつく限りの方法で、教えてくれと言ったり、泣きついたりもした。けれでも、聞き出せたのは、たった5分違いで出てきたという、本当にどうでもいい情報だけだった。

<コメント> 「~出てきたという」までは実に素晴らしい出来なんだけど、最後がもったいないなあ。情報がどうでもいいのではなくて、thatは並列。
<余談> だいぶ良くなってきたのだろうとは思います。原意をきちんと押さえた上で、なおそこから自由である。実に難しいのですが。

35.
たいていの一卵性双生児は、どちらが先に産まれたか知っている。それこそ子供の頃は、私たちも探り出そうと執念深く試みたのだが、両親は応じてくれなかった。思いつくかぎりあらゆる方法で催促し、教えてくれと泣きついたりもした。だが結局、せいぜい聞き出せた情報といえば、産まれた時間差がほんの5分だったということで、とりたてて決め手になるものではなかった。

<コメント>子供だから「執念深い」はまだないんじゃないかなあ。「催促」もそう。「泣きつき」はいいですね。最後の所はちょっと違うかな。
<余談> 代官山にも串カツ……。まあそれだけ景気が悪いんでしょうか。毎月応募とのこと、よく頑張りましたね。道は遠いですが、どんな道も一歩一歩進まなければゴールにはたどり着きません。がんばってください。

36.
一卵性の双子たちの大半は、どちらが先に生まれたかを知っている。しかしわれわれは子どものころ何度も両親に尋ねたが、けっして教えてもらえなかった。ありとあらゆる手を使い、どうしても知りたいとせがんだこともあった。だが聞き出せたのは生まれた時間は5分しか違わず、どちらが先かはまったく関係ないということだけだった。

<コメント>「尋ねる」とかは開いた方が読みやすいですね。それ以外はなかなか読みやすくまとめたと思います。
<余談> 特に日本人の場合、役割に人格を合わせていく傾向が強いので、より大きな影響があるのかも知れませんね。

37.
ほとんどの一卵性双生児はどちらが先に生まれたのかを知っている。僕たちも子供の頃、何度も両親に聞いてみたのだが、教えてはくれなかった。思いつくかぎりの、あらゆる方法で尋ねてみたし、どうか教えてくれるようにねだってもみたが、聞き出すことはできなかった。たった一つ、教えてくれたことは「5分差で生まれた」という、どうでもいいことだった。

<コメント>「どうでもいいことだった」だとthatが切り離されてしまいますね。それ以外は読みやすくまとまっている方だと思います。
<余談> 結局のところ、自分がなりたいかどうかだと思うんですね。僕もリアルの学校含めてずいぶんたくさんのお弟子さんがいますけれども、結局プロになった人は地道に努力を続けた人ですし。広島に行った帰りに新大阪に泊まりました。自分はずっと箱根を越えたら住めないと思っていましたが、そうでもないかも知れません。広島も良いところでした。

38.
殆どの一卵性双生児は、どちらが先に生まれたのかを知っている。事実、子供の頃、しつこく聞きだそうとしたが、両親は拒んだ。思い付くあらゆる方法で質問したり、教えてくれるように懇願さえした。しかし、やっとのことで引き出せたのは、自分達の誕生の時間差はたったの五分ということだけだ。しかも、たいしたことではなかった。

<コメント>「ほとんど」と開いた方がいいかな。In factも意外に訳しにくい表現ですね。「懇願」というのも大人の表現なんですね。「時間差」も硬い感じがします。that … thatには注意。
<余談> 淡々としているものを淡々と訳すのが難しいんですね。

39.
大抵の一卵性双生児は、二人のうちどちらが先に生まれたのか知っている。実を言うと私たちも子どものころ、しつこく答えを突き止めようとした。思いつくありとあらゆる方法で両親に尋ね、話してくれるように泣きついたことまであった。だが唯一聞き出せたのは、私たちが生まれた時間の違いはたったの5分で、気にするようなことじゃないということだった。

<コメント>「たいてい」や「たずね」は開いた方がいいかな。それ以外はなかなかうまくまとまっています。

40.
一卵性双生児のほとんどが、自分たちの生まれた順番を知っている。実のところ、それを探り出そうとして、子どものころにかなりしつこく両親を問いただしたのだが、答えてはもらえなかった。僕らは、思いつくかぎりのあらゆる方法で頼んだ。おねだりまでした。しかし、両親から引き出せたのは、出生時間の違いはたったの五分で、気にするような差ではないということばだけだった。

<コメント>さらっと訳せていてなかなか良いと思います。「言葉」の方がいいかな。
<余談> どういうやり方でやるにしても、とにかく一貫性があることが大切だと思います。

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