第71回 メディア・リテラシーは翻訳リテラシー

一行翻訳コンテスト2013.06.16

■オススメの一冊

『Reforming U.S. Financial Markets』
(Randall S Kroszner and Robert J. Schiller)

Micro

一冊目は、Randall S KrosznerとRobert J. Schillerの「Reforming U.S. Financial Markets」。円安のおかげで、僕が買った時よりもかなり値段が上がってる……。これは米国の金融市場の改革(タイトル通り)に関する論文です。本文132ページの短いものですし、用語自体も専門的に過ぎるものではないので、きちんとした文章を読む訓練という意味でお勧めしておきます。翻訳という場合、出版、特に文芸翻訳にともすれば目が行きがちですが、ノンフィクションや専門書も翻訳ですし、経済小説を訳すとなれば、経済や政治の知識、あるいは商品知識なども当然のように求められるようになります。僕の場合、比較的良く目を通すのは(日本語英語問わず)経済、政治、思想、科学が多いですが、いろいろなジャンルを読んでいくことが大切です。たとえば、アベノミクスという言葉を中身も分からずに賛同することも批判することも本来はできないはずです。あるいはトリクルダウン理論でも新自由主義でも構いませんが。要はきちんと自分なりで構わないので、気分とか雰囲気で言葉をとらえるのではなく、きちんと定義していくことが大切なんですね。

The world financial crisis that began with the subprime crisis in 2007 and continues today will be a historic occasion for regulatory reform. Serious instabilities and inconsistencies have been discovered in our financial system. We need to invent new rules of the game, so that the system will work better in the future and allow us to pursue our goals and inspirations with more satisfactory outcomes.

こういうのを丁寧に批判的(解釈的にも、意味的にも)読んでいくことが実力アップの道だったりします。

■オススメの一冊-2

『Kitty Cornered: How Frannie and Five Other Incorrigible Cats Seized control of Our House and Made It their Home』
(Bob Tarte)

A Street Cat Named Bob

では2冊目。ぬこ。紀伊国屋によったら、犬と猫の小説をミニコーナーで特集していました。Bob Tarteの「Kitty Cornered: How Frannie and Five Other Incorrigible Cats Seized control of Our House and Made It their Home」。そういえば近所の動物病院で引き取り手を探し中のぬこが5匹。まだ小さいのでスーパーかわゆすなのです。残念ながらうちは公団の賃貸なのでぬこは飼えないわけですが、いいなあ。で、表紙のびっくりフェイスとタイトルに釣られて買いました。読んでいて、動物好きとかぬこ好きの心理ってこうだよなあと思うところ多数。今回引っ張ってきたのは、ある猫との出会いのシーン。

The merest flicker of eye contact had passed between us. But in the brief instant between the crouching and the rocketing away, as my cloudy blues met her metallic yellows, I felt the spark of a connection between us. It was a serious crush, though I had no idea at the time how deeply she would set her hooks in me.

猫が目の前で一瞬こちらを向いてから走っていなくなった時に起こったできごとです。なかなかいいでしょ?

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