第88回 北陸新幹線開通で注目の北陸

通訳ガイド行脚2015.03.14

訪日旅行者数が1,341万人に達した日本、いよいよ待望の北陸新幹線が開通です。東京~金沢が2時間28分、日帰り旅行も現実的となると、外国人観光客の全国への訪問地拡大にもますます拍車がかかります。

かつては、外国人観光客の訪れるゴールデンルートとして東海道が賑わいました。東京~新幹線で京都&奈良、大阪。そこに日光、横浜、鎌倉、箱根、伊勢志摩、広島などが含まれたものです。この数年、新ゴールデンルートとして、東京~名古屋(多くは通過!)~高山~白川郷~金沢~(日本海側を経由して)京都という中部地区の山岳地帯含むルートが人気となりました。しかし、高山~金沢間は電車の便がなく、バスなどの車両移動しか方法がないので旅行の手配が面倒であったり旅行日数に余裕が必要だったりしました。
この春の新幹線開通で、東京から長野経由で金沢に容易に入れるようになると、旅のルートにもバリエーションが出て日本の魅力が増すのではないかと期待されます。

金沢では加賀百万石前田家の回遊式庭園として造られた特別名勝、兼六園が水戸の偕楽園、岡山の後楽園とともに日本三名園のひとつとしてあまりにも有名です。しかし美しい庭園を維持するのは並大抵の苦労ではないはずと思い、そんな事情を知りたくて、1月に金沢城・兼六園事務所を訪れてお話をうかがう機会を持ちました。

名園・兼六園は必見
ボランティアガイドも登録

管理事務所によれば、兼六園には庭師5名、清掃員20名を含めて60名以上の人が管理に携わっており、訪れる人々を迎えて案内をするボランティアガイドは105名、それとは別に外国語のボランティアガイド66名が登録をしているそうです。常にスタンバイしていて無料で訪問客を案内できる仕組みは心強いものです。市民と一体になって名園を守る姿なのですね。

大変なのは管理作業は年中無休だということ。そうですよね、枯れ枝も枯葉も落ちていない、枯れた花も残っていない手入れの良さを常に保たなければならないのですから。松の木530本を含む全21,000本の樹木にはカルテが用意され、週に1度の割で診断表が作成されるそうです。何と言っても冬の雪で枝が折れないようにする雪つり作業 (placing ropes or wires around trees to protect them from the snow)は、吊る時、外す時と2度大がかりな作業が必要です。兼六園では200本もの縄をつけた芯柱が約60本も立てられます。枝一本も大切にするため、大雪に見舞われた日の朝などは朝の5時から庭師と職員が総出で雪下ろし作業をします。雪国って本当に大変です。

庭師などの技術者の雇用にも配慮があるようです。どんなに熟練した技術の持ち主であっても、同年齢の庭師が重なるのは思わしくなく、限られた予算の人数枠の中で、それぞれの年代の庭師が技術を若い人材に継承できるような年代割り当てを配慮しなくてはならないそうです。この松は○○さんしか触れないといったような特別なケアがきっとあるのでしょう。恐らく似たようなご苦労が全国の名園であるのだろうと想像しました。

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さて、金沢は食事も美味しく、小京都と呼ばれる古い伝統が感じられる部分が魅力的ですが、友禅の着物や工芸品には目を見張るものが多いですね。特に金箔の扱いはほぼ独占的に日本一。食用、化粧品などにも使われています。もともと「金が出る沢」という地名なのですから。でも文化的に豊かさを感じるのは、
「何と言っても前田利家や妻のおまつの功労で栄えた町だからね」
なんて気軽に口にしたら、地元の人に怒られるそうです。
「前田利家公、おまつの方」
と呼ばないと睨まれますよ…というくらい地元の人々が先祖を誇りに感じている都市でもあるという、そんなトリビアを耳にしました。

ガイドブックに書いてない、小話や人々の土地に対する心意気を感じさせるストーリーを是非、外国人客にも語って差し上げたいものですね。