岩見 裕充(いわみ・ひろみつ)さん 農学系大学院を卒業。サン・フレア アカデミーの通信講座で翻訳を学び、㈱サン・フレアの登録翻訳者に。フリーランスで翻訳の仕事をしながらPreOJT、OJTを受け、2006年にサン・フレア入社。以来チェッカーとして、翻訳チェック、品質管理、新人研修などにあたっている。

岩見 裕充(いわみ・ひろみつ)さん

農学系大学院を卒業。サン・フレア アカデミーの通信講座で翻訳を学び、㈱サン・フレアの登録翻訳者に。フリーランスで翻訳の仕事をしながらPreOJT、OJTを受け、2006年にサン・フレア入社。以来チェッカーとして、翻訳チェック、品質管理、新人研修などにあたっている。

知的財産、端的にいえば「特許」の翻訳ニーズが旺盛だ。サン・フレアでも知財部門の受注状況は右肩上がり。ますます活発化する需要に応えるべく、目下、体制の強化を推し進めている。

とりわけ化学・バイオ系の分野は待ったなしの状況。新規登録が伸び悩み、人材は慢性的に不足している。「専門性の高さ」が参入の壁になっているとも考えられるが、同社で長年チェッカーを務める岩見裕充さんは「思われているほど高い壁ではない」と訴える。「やり方ひとつで越えられますし、なにより弊社には充実した新人研修制度があるので、必要なノウハウはすべてお教えできます」

岩見さんは今でこそ新人翻訳者の教育も行っているが、かつては研修を受ける側だったという。どんなステップを踏んで現職に至ったのか、まずはその来歴を簡単に紹介しよう。

サン・フレアにおける特許翻訳案件(IT・通信)の受注状況 過去5 年右肩上がりで増え続けていることがわかる。

サン・フレアにおける特許翻訳案件(化学・バイオ)の受注状況

過去5年右肩上がりで増え続けていることがわかる。

通信講座、研修を経て在宅翻訳者からチェッカーに

岩見さんが当初思い描いたのは、特許翻訳者になること。農学系大学院で培ったバイオ系の専門知識を存分に生かせると考えた。まずは翻訳を学ぼうと、研修制度が充実していたサン・フレア アカデミーの通信講座を受講。実務翻訳の基本やバイオ系の技術翻訳を集中的に学習し、受講から半年後、アカデミーが実施する翻訳実務検定「TQE」を受験した。するとバイオ分野で合格し、同社の登録翻訳者に。バイオメーカーの技術資料やカタログなどの仕事を請けつつ、並行してオンラインでのPreOJT(当時)で特許翻訳のノウハウを習得し、社内OJTへと進んだ。

岩見さんがチェッカーになるまで

岩見さんがチェッカーになるまで

 

「TQEに合格した後、『ゆくゆくは社内で働きたい』と希望を伝えておいたので、そういうキャリアアップの道を提示してもらえたのかなと思います。OJTでは不明点や疑問点をその場で解決できたので、非常にいい勉強ができました」

3カ月のOJT後、チェッカーの誘いを受けて承諾。在宅翻訳者から社員となった。以来、化学・医薬・バイオの特許明細書を中心に、主に技術的観点から翻訳をチェックしている。登録後の研修に加え新たにOJTを復活積極的に人材を育てる取り組みは、長年変わらぬサン・フレアの特徴の1つ。現在は岩見さん自らトライアルの採点、翻訳者の採用を行っている。

「未経験の翻訳者さんには特にきめ細かくフィードバックを行っています。特許翻訳の場合、クライアントごとに訳し方、用語などのご要望がありますので、経験者であってもしっかりお伝えするようにしています」

化学特許の登録翻訳者の多くは、研究職をリタイヤした60代以上の男性や子育てを終えた理系出身の主婦など、専門的バックグラウンドを持つ人たち。だが、語学力をベースに活躍している文系出身者も少なからずいる。

「化学知識をお持ちの方は、技術内容の理解という点で安心です。ただし、知識に頼りすぎて原文から離れてしまうという欠点がないわけではありません。一方、文系出身の方は原文に忠実に訳してくださるので、間違いがあっても用語を修正する程度で済みます。専門知識を吸収しようとする向学心の強い方も多い。どちらがより優れているということではなく、それぞれに翻訳者としての良さがあると思います」

化学と特許の組み合わせには、どうしても「難しい」というイメージがつきまとう。だが特許明細書の場合、「化学式や実験操作についての同じような説明が繰り返されるため、そのパターンさえ覚えてしまえばかなり楽になる」と岩見さん。食品や医薬品など身近なものを扱った明細書もあるため、「そういうものを選べば、むしろ入っていきやすい」という。

「化学知識がない方は、高校の教科書に目を通し、化学の世界で使われる言葉に慣れておくことが必要です。ただし、専門家になる必要はありません」

同社では今年に入り、TQE合格者を対象としたOJTを復活させたばかり。また登録翻訳者に対して、独自開発した化学・バイオの特許翻訳専用支援ツールを無償で提供し、チェッカーによる勉強会やセミナーも開催している。登録先を探している経験者、特許翻訳者としてキャリアを切り開きたい未経験者にとっては、きわめて魅力的な選択肢といっていい。

「自分で採用した方が一人前の翻訳者に育ってくれると、本当にうれしいものです。私たちもしっかりサポートしますので、経験の有無を問わず意欲のある方にはぜひ、弊社のトライアルに挑戦していただきたいですね」