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こんな学校です!

通学・通信講座とも、入門からプロレベルまで豊富なラインナップを用意。また、翻訳を学べる学校として日本で唯一の全日制コース(総合翻訳科)も開講。第一線で活躍中の現役翻訳者が指導にあたる。翻訳者ネットワーク「アメリア」を通じて求人情報を提供するなど、受講生・修了生への手厚いサポートも好評だ。

修了生インタビュー

カレッジコース、「出版翻訳」コース修了生
鈴木和博さん
(すずき・かずひろ)

筑波大学第三学群情報学類卒。翻訳者。2012年4月にフェロー・アカデミーに入学し、カレッジコース、「フィクション<1>」などを修了。現在は主にブログやウェブマガジンなどの一般技術者向けの読み物を翻訳している。2016年10月には、初の訳書『世界の美しい地下鉄マップ 166都市の路線図を愉しむ』を上梓した。

エンジニアから実務翻訳者へ
さらに出版翻訳家としてデビュー

昨年10月、初の訳書『世界の美しい地下鉄マップ 166都市の路線図を愉しむ』を上梓した鈴木和博さん。実務翻訳者としてスタートし、キャリア4年目の現在は、主にITや自然科学系のウェブ記事を手がけている。以前はフリーランスのエンジニアだったが、あまりの多忙さにほかの仕事を模索。英語の小説を読むのが好きで、ITという専門分野を持っていることから、翻訳者への転向を考えたという。

「1日も早く翻訳で生計を立てられるよう、全日制のカレッジコースで集中的に学ぶことにしました。出版翻訳も視野に入れていたため、実務も出版も学べるカリキュラムにも魅力を感じました」

2012年4月から勉強を始め、同年の冬には早くも翻訳会社のトライアルに合格。ほどなくして初仕事を受注、その後も登録先を増やして、コースを修了した直後から「翻訳で食べていける状態になっていた」そうだ。

出版翻訳で表現力を鍛え実務翻訳に生かす

実務翻訳を軌道に乗せると、出版翻訳との二刀流を目指し加賀山卓朗先生の「フィクション<1>」を受講した。1期受けてみて「翻訳に対する先生の考え方に共感」。最終的には、6期連続で指導を仰ぐことになった。

「原文を正しく解釈し、著者の意を汲んだ自然な日本語に訳す力が少しずつ養われていったように思います。『原文がよくわからなくても、〈自分はこう解釈した〉と定めて訳したほうがいい』というアドバイスは、今も常に意識しています」

その間、加賀山先生が仕事として請けたノンフィクションの下訳も経験。
「事実を調べ、それを踏まえて翻訳する」という経験は、『世界の美しい地下鉄マップ』を訳したときに生きることになった。出版翻訳を学んだ成果は、それだけにとどまらない。

「最近は、実務翻訳でも専門性と読みやすさの両方が求められる案件の依頼が増えています。対応できる翻訳者が少ないらしく、〝読ませる文章の訳し方〟を勉強しておいてよかったと思いますね」

出版翻訳で表現力を鍛え、その表現力を実務翻訳者としての〝付加価値〟としてアピールしていく。実務と出版の両立は今後も続けるつもりだが、「出版翻訳には積極的に挑戦していきたい」と、さらなる飛躍の機会をうかがっている。

講師インタビュー

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「出版翻訳」コース
加賀山卓朗先生
(かがやま・たくろう)

出版翻訳家。フェロー・アカデミーで田口俊樹氏に師事し、翻訳家に。『過ぎ去りし世界』『レッド・ドラゴン』『リーマン・ショック・コンフィデンシャル』(以上、早川書房)、『ミッション・ソング』(光文社)、『荒ぶる血』(文春文庫)など訳書多数。

「正確さ」の先にある「読みやすさ」へ
出版翻訳では「リズム」が大事です

私は通学の「出版基礎」「フィクション」、通信マスターコースの「ミステリー」を担当しています。そして2017年度からはカレッジコースで「翻訳入門」も担当します。「フィクション」では主にミステリーの短篇や長篇の一部を使い、半年間で4、5種類の原書に触れられるようにしています。「出版基礎」では、ルポルタージュやポピュラーサイエンスなどのノンフィクションも取り上げます。

授業では当番制で訳文を提出していただき、全員で討議します。担当者には自分の訳文を音読してもらいますが、それは日本語のリズムを体感してほしいからです。声に出せば、「ひと息で読みきれないからここに読点を入れよう」などと気づくことができる。リズムというものは、読者を惹きつける上で不可欠なものです。

原文を正しく解釈し、誤訳をなくすことはもちろん大切です。しかしより重要なのは、「誤訳のない日本語」から「読みやすい日本語」へ磨き上げること。その点も、しっかり学び取ってほしいと思っています。

上達の秘訣は師匠をまねること

私はミステリーのほか、別名義(依田卓巳)でノンフィクションも訳しています。ノンフィクションを読む醍醐味は、新たな知識を得られるところ。そのため、フィクションより「さらに意訳」し、場合によっては文章や段落を入れ替え、理解しやすいよう工夫する必要があります。

実務分野とフィクションについて言えば、当然「うまい/下手」の意味あいは違ってきます。実務翻訳は、正確に内容を伝えなければ話になりません。それに対してフィクションは、まず「読み心地」がよくなければならない。つまり、文章に「リズム」が必要です。その人に「リズム感」が備わっているかどうかは、子供の頃の読書量に影響されると思いますが、文章修行でカバーできる部分もたくさんあるはずです。

上達の秘訣はただひとつ、師匠を決めて「まね」をすることです。好きな翻訳家の訳書と原書を用意し、同じ訳文になるまで何度も訳しては見直す。これを3、4冊やれば必ず上達します。

出版翻訳には「人の心を動かせる」という醍醐味があります。自分の文章を読んだ遠くにいる誰かが、笑ったり、怖がったり、喜んだり、悲しんだりするのです。そんな魔法のような仕事を絶やさないためにも、意欲のある方にはぜひ出版翻訳を学んでほしいと思います。