齊藤竜彌(さいとう・たつや)さん 静岡大学人文学部卒。社内通訳・翻訳業務に6年間従事した後、サン・フレア アカデミーで特許翻訳を学び、㈱サン・フレアの登録翻訳者に。研修とOJT後、5年ほど在宅で特許翻訳を手がけ、2015年10月に同社入社。現在はTrados特許プロジェクトのチェッカーとして、翻訳チェックと新人研修を担当している。

齊藤竜彌(さいとう・たつや)さん

静岡大学人文学部卒。社内通訳・翻訳業務に6年間従事した後、サン・フレア アカデミーで特許翻訳を学び、㈱サン・フレアの登録翻訳者に。研修とOJT後、5年ほど在宅で特許翻訳を手がけ、2015年10月に同社入社。現在はTrados特許プロジェクトのチェッカーとして、翻訳チェックと新人研修を担当している。

サン・フレアでは現在、Tradosなどの翻訳支援ツールを駆使して英日特許翻訳を行う「Trados特許翻訳プロジェクト」を推進している。プロジェクトが扱う主な分野は、同社が受注する特許案件の中で特に需要の多いIT・通信関連だ。
IT・通信の特許文書は、ほかの技術分野のそれと比べて表現の類似度が高く、翻訳支援ツールによる過去訳や類似表現の流用を望むクライアントは少なくない。「品質の維持」や「短期間での納品」が見込めるためだ。そうした要望に応えようと、同社は「迅速・高品質」を掲げた本プロジェクトを発足。以来、受注は増える一方で、翻訳者の補充が追いつかない状況にある。

サン・フレアにおける特許翻訳案件(IT・通信)の受注状況 過去5 年右肩上がりで増え続けていることがわかる。

サン・フレアにおける特許翻訳案件(IT・通信)の受注状況

過去5 年右肩上がりで増え続けていることがわかる。

講座や研修でスキルを磨き特許翻訳者デビュー

齊藤竜彌さんは、本プロジェクトのチェッカー兼新人研修担当。かつて5年ほど同社の登録翻訳者として稼働していたが、昨年10月に「体制強化に力を貸してほしい」と請われ、フリーランスから社員になった。
「チェッカーや新人研修といった形で特許翻訳に関わってみるのも、いい経験になるかなと。実際、さまざまな翻訳者さんたちの訳文を見ていると、いろいろ気付かされることもありますね」
特許翻訳歴は今年で6年目。ずっと IT・通信分野を扱っているが、その方面の業界出身者でもなければ、特許業務に携わっていたわけでもなく、理系でもない。

斉藤さんが特許翻訳者になるまで

「もともと英語が好きで、社内通訳・翻訳者になってみたのですが、通訳はどうも合わない。そこで翻訳一本に絞ろうと映像翻訳へ路線変更したものの、仕事をしてみるとしっくり来ませんでした。どんな分野の翻訳がいいかと考えた末、たどり着いたのが特許です。技術が進歩し続ける限り特許申請はなくならないし、特許翻訳なら一生の仕事にできるのではないかと考えました」
特許翻訳を集中的に学ぶため、「クラスの時間帯が豊富で少人数制」である点に惹かれ、サン・フレアの教育部門であるサン・フレア アカデミーに入学する。特許講座の初級からスタートし、上級講座の受講中に「TQE(翻訳実務検定)」※に合格。特許翻訳者として同社に登録することができた。「明細書を教材に、各書式の特長と翻訳するときのポイント、ケースバイケースの訳し方など、実務に直結するノウハウを学ぶことができたのがよかった」と振り返る。
講座修了後には、教務スタッフの勧めで「Trados特許翻訳プロジェクト」の研修に参加。翻訳支援ツールの操作法も学びながら、3ヵ月ほど実践指導を受けた。並行して特許翻訳のOJTも受け、報酬を得ながらスキルアップ。そうして2010年、本プロジェクトの一員となり、特許翻訳者としてのキャリアを歩み始めた。
※サン・フレアが翻訳者発掘のために主催する資格試験

斉藤さんが特許翻訳者になるまで

バックグラウンドは不問「入口」はいろいろ

そんな齊藤さんも、いまでは新人を指導する立場だ。
「研修は在宅で行います。分量の少ない特許明細書1本を複数回に分けて翻訳、分納していただくのですが、そのつどチェッカーのフィードバックを受けてから先に進むというスタイルです。アドバイスを受けながら1本訳していくので、翻訳者さんは仕事を早く覚えられますし、私たちとしては品質管理の労力を最小化できます」
研修中の人たちは「実務経験のない学習者の方、英語力は高いけれど技術知識のない方、特許未経験の実務翻訳者の方などさまざま」。齊藤さん自身が特許とは無縁だったように、自分のバックグラウンドを過度に気にする必要はないそうだ。
「私は無線通信規格を扱うことが多いのですが、実案件を多くこなすなかで専門知識も増えていきました。技術知識は後から身に付けられますし、つねに知的好奇心が刺激されて楽しいですね。特許特有の文章スタイルにしても、慣れてしまえば難しいことはありません」
登録翻訳者から社員へと立場は変わったが、サン・フレアに対する「ノウハウの宝庫」という印象は変わらない。豊富な知識や長年の経験を持つチェッカーや校正者が多いため、「一緒に仕事をしていて得られるものは大きい」。そんな環境でともにプロジェクトを支えてくれる仲間が、1人でも多く増えることを期待している。
「アカデミーで学ぶ、トライアルを受ける、校正者から始めるなど、弊社にはいろいろなアプローチの方法があります。どこからでも結構ですので、翻訳支援ツールを使った特許翻訳に興味のある方は、ぜひ挑戦してください!」